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スクロヴァチェフスキのショスタコーヴィチ「交響曲第5番」

2010.04.17 - ショスタコーヴィチ

sc

スクロヴァチェフスキ指揮ミネアポリス交響楽団


梅森浩一の「クビ!論。」を読む。
著者はチェース・マンハッタン銀行やケミカル銀行で人事を担当していた頃に、1000人の社員の「クビ」を切ってきたという。「あまりに多くの社員のクビを切ったために、誰をどのようにして切ったのか、いちいち覚えていられな」いほど。
外資系の企業は人事に割り切っているときいていたけれど、噂どおりのすごさである。最近ではメジャー・リーグのチームのメンバー入れ替わりぶりをみるにつけ、アメリカと日本とのやり方の違いを漠然と感じていたが、それはプロ・スポーツという特殊な世界だけではないらしい。
社員の誰をクビにするかは各部署で決めていて、人事部門はその指定に沿って引導を渡す。だからしがらみは少ないかもしれないものの、これはなかなか因果な商売である。
そんななかで、著者は団塊の世代に対して苦労したようで、不満をぶちまけている。
「この世代の問題点を挙げ始めたら、切りがありません」
「この世代には理念や哲学、一貫したポリシーがありません。学生時代は左翼運動にかぶれたかと思うと、卒業後は企業に入って猛烈サラリーマンになる。ところが会社が左前になると、たちまち忠誠心も労働意欲もなくし、ひたすら給料をもらうだけの守りの姿勢に入ります。要するに、この世代は無責任で、自己保身しか頭にないのです」
実際にそうなのかわからないが、この世代はいい時代に生きたのじゃないかとは思う。好景気にうまく乗っかることができて、年金もそこそこもらえる世代、じつにうらやましい。
「君たちの世代は大変だなあ」なんて言われると、ちょっとヒクけどね。


若きスクロヴァチェフスキのショスタコーヴィチ。速めのテンポでスッキリまとめた演奏。ひとつひとつの楽器が生き生きと眼前にあらわれる。
クラリネットやファゴットの素早いパッセージ、トランペットとティンパニが溶け合う皮の音、松やにの飛翔が見えるようなヴァイオリンの弱音。
イデオロギー云々は置いておいて、音そのものをきちんと整備することに、細心の注意を払った演奏であるように感じる。そういうスタイルだから、3楽章の内省的な情緒がおしつけがましくないし、激しい攻撃的な場面も立体的である。
ミネアポリス響もわりといい。1楽章で弦がやや薄い感じがあるところと、たまにトランペットが怪しくなる箇所があるが、全体的には闊達であり、すっきりと見通しがよい。ラストのティンパニのパンチの効いた響きは印象的。
つくづくアメリカのオーケストラの層の厚さを感じる。
また、マーキュリーの録音が素晴らしい。ステレオ初期のものとは思えないほど生々しい。


1961年3月、ミネアポリスでの録音。

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