ヴァンスカ指揮ラハティ交響楽団の演奏で、シベリウスの交響曲5番(1919年改訂稿)を聴く(1997年6月、フィンランド、ラハティ、クロス教会での録音)。
このディスクには、2種類の異なった5番交響曲が収録されている。1915年の初稿版と、1919年の改訂版である。一般に聴かれているのは後者。私は初稿版を初めて聴いた。
この曲にそれほど親しんでいるわけではないけれど、おおまかな違いはわかる。初稿版は、荒削りでダイナミック、ときおり前衛的な響きが聴こえたりして面白い。
ただ、全体の仕上がりは改訂稿のほうが滑らかでまとまりがある。よって、何度も聴くにはこちらを取りたい。
ヴァンスカの演奏は、相変わらず切り込みが鋭い。ビターな響きはまるで厳しい自然をあらわしているよう。
ざわざわとうごめく弦楽器、おおらかなホルン、泡がはじけるような木管楽器、野太いティンパニ。どの楽器もいきいきとしている。
ブルックナーばりに息の長いコーダは、じつに雄渾。
パースのビッグムーン。
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