ジャコモ・アラガルの題名役、ロンバール指揮ストラスブール・フィル他の演奏で、グノー「ファウスト」を聴きました(1976年、ストラスブール音楽ホールでの録音)。
ロンバールが振るオペラを初めて聴いたけれど、剛直。目鼻立ちはクッキリしているし、たっぷりガンガンと鳴らせて景気よし。
それに倣ったのか、歌手も目覚ましいくらいに勢いがいい。
ファウストの声は若々しく透明感に溢れるもので、まさに30歳若返った博士のもの。ヒロイックで精悍、女にモテそう。フランス語はわかりませんが、雰囲気のある発声だと思います。
マルグリートは可憐にして、ほのかな色香が立ち昇る。ひとつ挙げれば、「宝石の歌」。色とりどりの花に囲まれた少女のいでたち。運悪くメフィストとファウストの目に適ってしまったのが致し方ない魅力。
メフィストフェレスは、天性の悪役キャラといった佇まい。ときおり発するドスは腹に響き、とりわけマルグリートが陥落するシーンは鳥肌モノ。でも、もし人のいい勤め人を演じさせたならば、誰もの心を温めるような雰囲気を醸し出す、そんな幅広さを想像させる歌唱でもあります。
以上、この3名が主軸のオペラですが、ヴァランタン以下、他の歌手陣も冴えています。
モンセラ・カバリエ(マルグリート)
アニータ・テルツィアン(ジーベル)
ジャクリーヌ・タイロン(マルテ)
ジャコモ・アラガル(ファウスト)
ポール・プリシュカ(メフィストフェレス)
フィリップ・フッテンロッハー(ヴァランタン)
ジャン・ブルン(ワーグナー)
ライン歌劇場合唱団、他
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