エフゲニー・キーシンのピアノで、愛すべき作品集を聴く(1992年10月、ウイーン、ゾフィエンザールでの録音)。
・グリーグ:君を愛すop.41-3
・グリーグ:「民族生活の情景」~謝肉祭よりop.19-3
・シューベルト/リスト編曲:ます(歌曲をピアノ独奏用に編曲)
・シューベルト/リスト編曲:魔王(歌曲をピアノ独奏用に編曲)
・シューマン:アラベスクop.18
・リスト:ウィーンの夜会第6番
昼飯を食ったあと、バレンボイムのピアノでシューベルトの21番ソナタを聴いていたら、気持ちよくなってうたた寝してしまった。
昨夜は12時間近く寝ている。なのに昼寝。
なんでこんなに疲れているのか。
酒、か。
肝臓が、エネルギーを欲しているのかもしれない。
だけど、酒を飲まないで、なんの人生か、という思いはある。
そんなわけで、晩酌をしながら、キーシンのピアノで、愛すべき曲を。
「君を愛す」、左手の激情が凄い。
「民族生活の情景」も、「抒情小曲集」の趣き、キーシンの打鍵の強さは、決して濁らない。おおらかな拡がりがある。テクニックは鋭角的に冴えわたっている。
「ます」はリスト編曲のもの。好きな歌。屈託がない。屈託がある作曲家が、こうした曲を書くことが泣ける。この編曲は、何故か超絶技巧チックになっている。
「魔王」もリストの編曲。壮絶なピアノだ。こんな激しいピアノを弾けるソリストは、現存では何人もいないだろう。
「アラベスク」はシューマンの憂鬱と仄めかしが凝縮された音楽。キーシンは速めに進める。しかし情感は濃い。憂愁が立ち昇る。いかんいかん、日曜日の夜に聴いたらいけない音楽だ。
「ウイーンの夜会」、煌めく宴会を彷彿とさせる豪勢な音世界。かすかに揺れるテンポがいい。そして、左手と右手とを、微妙にずらせている。素晴らしいセンス! キーシンの芸術は、ある意味この時期に完成されていた。
異国の豪奢な集いに、想いを馳せよう。
図書館。
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