パヴァロッティのカニオ、ムーティ指揮フィラデルフィア管弦楽団・他の演奏で、レオンカヴァッロ「道化師」を聴きました(1992年2月、フィラデルフィア、音楽アカデミーでの録音)。
カラッとした声の響きでもって大らかに歌いあげるパヴァロッティのカニオが素晴らしいのは勿論とも言えるけど、あとのメンバーも充実しています。
色香たっぷりのネッダ。イタリア語はわからないけど、発音と巻き舌の滑らかさが、理屈抜きに心地よい。
重厚でふくよかなトニオの声は、どっしりとした落ち着き。だからか、不安や失望の場面での振り幅が大きく、感傷的な味が濃く広がるように感じます。
同じくバリトンのシルヴィオも好調。寝取り男の高慢さがよく出ている。
オーケストラは、昨年にサントリー・ホールで聴いたものとはいささか異なる。なにより響きが渋い。いぶし銀のよう。珍しく手掛けたオペラシフトだろうか。でも、美しい。
劇中劇で思い出すのは好きな「天井桟敷の人々」だけど、あのような牧歌的恋愛劇ではなく、こちらは激情型。おそらくシェークスピアをお手本にしたであろう台本は、お話しとしてありがちだけど、普遍的なのだろうな。
ネッダ…ダニエラ・デッシー
トニオ…ファン・ポンス
シルヴィオ…パオロ・コーニ
ペッペ…エルネスト・ガヴァッツィ
合唱…ウェストミンスター交響合唱団
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