フリッチャイ指揮ベルリン放送交響楽団、ルドルフ・シュルツのヴァイオリンで、R・コルサコフの「シェエラザード」を聴きました(1956年9月の録音)。
この録音、年代はモノラル時代とステレオ時代との狭間になっており、当時デッカやRCAなどでは既にステレオの商用録音を開始していましたが、これはモノラルです。
でも、音質はいい。透明感があるし、広がりも感じられなくはない。
シュルツのヴァイオリンは涼やか。管弦楽が暑苦しい中(笑)、ひとときの清涼感を味わうことができます。伸びやかでしなやかな音に、そこはかとない気品を感じます。
オケもいい。管楽器の個人技が目立つ曲ですが、ファゴット、オーボエ、クラリネット、トランペット、みんな闊達な吹きっぷり。小太鼓を始めとする打楽器のキレも上々、うねる弦楽器の濃厚さも素敵。細かいテンポの変化はいたって自然であり、嫌味がない。
このように、各楽器をあたかも自由に演奏させつつ、揺るぎない太い幹でもって全編を支え切ったフリッチャイの手腕は見事です。
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