C・クライバー指揮バイエルン国立歌劇場管弦楽団・他の演奏で、J.シュトラウス2世の「こうもり」を聴く(1975年10月、ミュンヘン、ヘルクレスザールでの録音)。
このディスクは、発売当初に「切れば血が吹き出るような」などと褒め称えられた。指揮者もさることながら、歌手陣も強力。当時のドイツ・グラモフォンが威信をかけたのであろう布陣となっている。
クライバーの指揮は、序曲から最後にいたるまで、とてもイキがいい。緊張感がピンと張り詰めている。ウイーンの濃厚な情緒をゆったりと歌う、というよりは、瞬発力を重視しているよう。シャンパンが泡立つような爽快感がある。
歌手たちは、みんないい。プライ、コロ、ヴァラディ、そしてポップ。たまらん。けれど、オルロフスキーには違和感を感じる。通常はメゾ・ソプラノの役だと思うが、ここではロシア民謡歌手の男声レブロフを起用している。独特のしわがれ声は、ある種の存在感はある。ただ、セリフはともかく歌唱になると聴いていてツラい。なにかの冗談のようだ。
若いころは、この歌が好きだったんだけどなあ。歳をくって嗜好が変わったみたい。
アイゼンシュタイン:ヘルマン・プライ(バリトン)
ロザリンデ:ユリア・ヴァラディ(ソプラノ)
アデーレ:ルチア・ポップ(ソプラノ)
フランク:ベンノ・クッシェ(バス)
オルロフスキー:イヴァン・レブロフ
アルフレート:ルネ・コロ(テノール)
ファルケ:ベルント・ヴァイクル(バリトン)、他
バイエルン国立歌劇場合唱団
パースのビッグムーン。
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