フィリッペスキの題名役、サンティーニ指揮ローマ歌劇場・他の演奏で、ヴェルディ「ドン・カルロ」を聴きました(1954年10月、ローマ歌劇場での録音)。
サンティーニが指揮した「ドン・カルロ」はスカラ座とのDG盤を愛聴しています。とりわけクリストフが素晴らしい。その彼はここでも歌っていて、朴訥でありながら威厳に満ちており、やはり聴きごたえがある。
そしてこちらは、ゴッビがロドリーゴを歌っていることが私的には目玉。「スカルピア」のイメージが強いけど、どんな感じなのだろう。興味津々でした。
当盤のドン・カルロはマッチョで熱い色男。いささか古めかしい歌いまわしが時代を感じさせますが、そのぶん野趣がたっぷり。
二重唱「われらの胸に友情を」はゆったりとしたテンポでもって、両者ともに噛みしめるように歌いあげていて、味わい深い。
一方で歌うロドリーゴは、おおらかでふくよか。「スカルピア」みたいな威圧感は影を潜めています。友情に厚い好男子を懐深く演じきっており、男が惚れそうな魅力満載。映画俳優で言うと、スティーヴ・マックイーンかな。
エボリは曇天の歌声。たっぷりとドスが効いていて、いかにも怒らせたら恐い女のようで、実際恐いところは何箇所も。
エリザベッタも好調。
サンティーニの指揮は、当盤のほうがトーンが明るいし、切れ味が鋭く緊迫感が強いように感じます。
モノラルながら録音も優秀。下手なステレオ録音より数段上。金管楽器はザクザク鳴るし、歌声は生々しい。
ボリス・クリストフ(バス:フィリッポ2世)
マリオ・フィリッペスキ(テノール:ドン・カルロ)
ティート・ゴッビ(バリトン:ロドリーゴ)
ジュリオ・ネリ(バス:宗教裁判長)
アントニエッタ・ステッラ(ソプラノ:エリザベッタ)
エレーナ・ニコライ(メゾ・ソプラノ:エボリ公女)、他
ジュゼッペ・コンカ(合唱指揮)
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