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カレーラス、カラヤン、ベルリン・フィル、"ドン・カルロ"

2021.05.15 - ヴェルディ

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カレーラスの題名役、カラヤン指揮ベルリン・フィル他による、ヴェルディ「ドン・カルロ(4幕イタリア語版)」を聴きました(1978年9月、ベルリン・フィルハーモニーでの録音)。

このCD、カラヤンの代表作のひとつであるという世評に賛同します。

絢爛豪華な歌手陣は各人充実しているし、合唱も密度が濃い。でも、それと同様か、あるいは上回る存在感がオーケストラにあると感じます。
豪奢で色濃く分厚い響きは力強く、ときにヒロイックに、ときに悲劇的に劇を彩ります。勢いのいい急流のように畳みかけることもあるし、大河のごとく滔々とうねる場面もある。オーケストラが鳴る箇所だけを聴いても飽きがこないかもしれません。

といいつつ、歌手も負けていない。
最近カレーラスを好んで聴くけれど、このドン・カルロは最近に聴いた彼の歌唱の最高クラス。血気盛んな歌いぶりが気持ちいい。いっぽう、カプッチッリはどっしりとして、かつ抑えた歌唱にコクがある。「われらの胸に友情を」で、ふたりの歌声が柔らかに溶け合うところは、こよなく美しい。
フレーニ、ギャウロフ、ライモンディも好調。長尺の「世のむなしさを知る神」は、冬の青空の飛行機雲のようなソプラノ、フィリッポと宗教裁判官のくだりは、ふくよかで聴きごたえ満載。いくぶんトーンが明るいように感じます。
また、乱暴な言いかたをすれば、バルツァはエボリを歌うために歌手になったのじゃないかと思うくらいにいい。若くて、知的で、意地悪だけど素直な女を生々しく歌いきっています。

この演奏を実演で聴いたならば、オーケストラの音が歌唱を掻き消すことがしばしばあるだろうことを推察しますが、これはレコード芸術。ライヴの楽しみとはジャンルが違う。遺されたCDを楽しめばいいのです。


































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