マゼール指揮ベルリン・フィルの演奏で、メンデルスゾーンの交響曲4番「イタリア」を再び聴きました(1960年、ベルリンでの録音)。
このシンフォニーの魅力は、なんといっても「ポンッ」と始まる軽快な出だし。演奏を選ばず大抵聴き入ってしまうが、とりわけ気に入っているのは、シノーポリ、ショルティ、クレンペラー。そしてこの演奏も改めて聴いてみたら、とてもいいなぁと感じ入ってしまった。
録音当時、マゼールは30歳になるかならないか。神童のレッテルを塗り替えて、本格的な指揮活動を始めたところ。
当時のベルリン・フィルはカラヤンが仕切っていたわけだけど、まだフルトヴェングラーの音が残っているという意見もちらほら。
でもこの演奏、重心は低くなりすぎていない。高低のバランスがいい。そして木管楽器の鳴りっぷりが見事。1楽章の、朝昇る陽光のようなオーボエや、3楽章における、羽毛のようにふくらみのあるクラリネットとフルートは、技術のうまさもたいしたものだけど、凛とした表情が素敵。オーボエはローター・コッホだろうか、そんな気がする。木管が登場するところだけでもこのディスクを聴く価値はあるかもしれない。
といいつつ、この演奏をリードしているのはマゼール。温かい血の通った躍動感が素晴らしく、まさに才気煥発。大変楽しく聴くことができました。
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