ギーレン指揮フランクフルト市立劇場オペラ管弦楽団・他の演奏で、マーラーの交響曲8番を聴く(1981年8月28日、フランクフルト・アルテオーパーでのライヴ録音)。
マーラー8は、クーベリックとシャイーで打ち止めかと思っていたが、今年に入って、ラトル盤、ネーメ・ヤルヴィ盤、そしてこのギーレン盤を聴いて、ああ、この曲も競合盤が多いのだなと、改めて思い知った。
この演奏は、フランクフルトのアルテオーパのこれら落としとして上演されたもの。全曲のタイムは72'10で知る限り、最速である。でも、さほど速さは感じない。聴いてみれば、ちょうどよいテンポだと思う。
1楽章は、流れがよく、推進力が強い。太筆でぐいぐいと勢いよく描いている。当時のライヴ録音のわりには音質は明快であり、込み入った細部の音まで聴きとることができる。歌手はソプラノを始めとして、気合いが入っている。熱気がある。
2楽章の最初はたゆたうよう。一音一音をじっくりと奏でている。やはり、最速テンポとは思えない。どっしりとしている。
法悦の教父のアリアで音楽ははっきり動く。この場面は好きなところで、スティルウェルの声がやや明るいと感じるものの、エステスの瞑想する教父とともに立派。
女声合唱の伴奏のクラリネットの細かな動きが鮮明でハッとする。マリア崇敬の博士は長丁場。健闘している。月光のようなホルンと、哀しみを湛えたヴァイオリンとハープがこよなく美しい。
女声のソリストたちの歌は、みんな適度な色香があり、そして情感がこもっていて、心を動かされずにはいられない。
オーケストラは全体を通して、自然で力みがない。この大交響曲に対して正攻法で挑んでおり、高い力量を示している。
ギーレンの指揮は細部まで目の行き届いたもので、なおかつ大きな太い流れを構築するのに成功しているように思う。
Faye Robinson(sop1)
Margaret Marshall(sop2)
Hildegard Heichele(sop3)
Ortrun Wenkel(alt1)
Hildegard Laurich(alt2)
Mallory Walker(ten)
Richard Stilewll(bar)
Simon Estes(bass)
Figuralchor des Hessischen Rundfunks
Frankfurter Kantrei
Frankfurter Singakademie
Limburger Dom-Singknaben
パースのビッグムーン。
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