ボッケリーニ「チェロ協奏曲ニ長調」 マ(Vc) コープマン指揮オランダ・バロック管弦楽団>
野田佳彦の「民主の敵」を読む。
これは、彼が民主党の幹事長代理だったときの著作。2009年6月に書かれているから、けっこう最近なのだが、実はその間、総理は3回も変わっている。時が過ぎるのは速いのう。
野田が好きな作家は、司馬遼太郎と藤沢周平と山本周五郎だという。それぞれ「夢」、「矜持」、「人情」を描いているからであり、それは政治家に求められる最低限の資質だと言う。
本文は基本的に自民党の批判に多くを割いている。そのへんはいかにも野党という態度で退屈感が否めないが、なかには日本の海に眠るレアアースの開発について言及するなど、キラリと光る記述もある。
昨日、衆議院では消費税の増税法案が通ったわけだが、民主党も大変なことになっている。増税を実施することと景気をよくすることを同時に試みることは、アクセルとブレーキを一緒に踏むようなものだ、と野党の誰かが言っていた。確かにそうかもしれないが、批判は簡単だ。ならば景気をどうやってあげるのか。そそるような案をきいたことがない。
今は首相にとっての正念場。「夢」と「矜持」と「人情」を忘れずに、景気上昇ののろしをあげてほしい。
ヨー・ヨー・マのチェロでボッケリーニを聴く。
マのチェロは往々にして軽いので、ドヴォルザークのコンチェルトやバッハの無伴奏といったシリアスな曲よりも、こういったライトな曲のほうが合うようだ。
これは4楽章から成っており、アレグロ、ラルゲット、ロンド、ロンドという構成。1,2,4楽章にカデンツァが置かれている。
チェロとバロック・オケが醸し出すサウンドは、軽やかで明るくて耳に心地よい。時空を超えてチョー気持ちいい。
カデンツァはかなりの技巧を要しているようだ。マのオリジナルなのかな。3楽章の天空を舞うようなテクニックにも目を瞠る。
また、オケが素晴らしい。コープマンが指揮に加えてチェンバロを担当していて、これが冴えているのだ。音が立っていて、とても明快で効果的、そして自己主張が強い。つねに全体のバランスを支えつつ、ときにはシンバルのようなアタックをかけてくる。チェンバロがチェロを食ってしまう場面が多いようだ。
1998年8月、オランダでの録音。
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