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新・堕落論、ボールト、"惑星"

2012.04.14 - ホルスト
 
ho

ホルスト「惑星」 ボールト指揮ロンドン・フィル


石原慎太郎の「新・堕落論」を読む。
東京都知事は今年で80歳になる。現代がいくら高齢化社会とはいえ、決して若いとはいえない年齢だ。でも、文章は血気盛ん。全編に渡って、いきり立っている。

基本的な立場はやはり反米。横田基地においての問題(米軍の空域は新潟県にまで及んでおり、日本の旅客機はそこを迂回している)や核の保有の是(「戦争を嫌って恐れ平和を維持するためには互いの立ちすくみが必要」)を基調に、口角泡を飛ばしている。

全体的に文が長いので読みにくいところがあるものの、主張が明確であって勢いがあるから、ぐいぐいと引っ張られる。魅力的だ。
ただ、天罰という言い方はあんまりだと思う。






ボールトの「惑星」を聴く。彼の5回目となる録音である。LP時代に何度か聴いていた演奏だけど、細部は忘れていた。
改めて聴いてみると、やはりいい。

「火星」には適度なパンチ力があり、荒々しさと同時に品を感じる。ダイナミックと呼吸の深さが同居しているような感じ。
夜空にクッキリと輝くような、きらびやかさをまとわせた「金星」。
「水星」はキビキビとしたテンポで、香り高い幻想味を醸し出している。
「木星」は、重心の低いオケの音色を充分に鳴らせていて、響きが手厚い。中間部のマエストーソはわりとあっさり歌っているが、徐々に音量を上げていくところは高揚感がある。
神秘的でしっとりとした佇まいの「土星」。
フットワークの軽いティンパニと、ドスのきいた大太鼓がいい「天王星」。
なにげなく入ってくる合唱の透き通るような美しさが印象的な「海王星」。

録音はしっとりとしていて、この曲に合っているように感じる。
星の数ほどある「惑星」の録音をもちろん全部聴いているわけではないが、このボールト盤はトップクラスに位置するべき演奏じゃないかと思う。


1978年5-7月 ロンドン、キングズウェイ・ホール、アビー・ロード第1スタジオの録音。




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