タカーチ弦楽四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲15番を聴きました(2003-2004年、セント・ジョージ・ブリストルでの録音)。
ベートーヴェンの数ある弦楽四重奏曲のなかで、今の気分では15番がもっとも好きかもしれません。
ここでも何度か書いてきましたが、この3楽章「リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」はベートーヴェンが腸チフスから快癒した喜びを綴ったものだとされています。
なんともいいようのない安らぎに加えて、しっとりと浮き立つような感覚があります。
4名の楽器は、あたかも練絹を思わせるようにきめが細かく、滑らか。節はガッチリとしていて、旋律には自然な膨らみがつけられている。
そのほかの楽章もいい。
切っ先の鋭い1楽章、たっぷりと落ち着いた2楽章。愉悦感満載の4楽章、哀愁の色が濃い5楽章。全曲を通してのバランスも素晴らしい。見事な演奏だと思います。
タカーチ、今秋に来日しますが後期はやらないようです。
エドワード・ドゥシンベル(ヴァイオリン)
カーロイ・シュランツ(ヴァイオリン)
ロジャー・タッピング(ヴィオラ)
アンドラーシュ・フェイェール(チェロ)
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