神宮球場へオープン戦を観に行った。
スワローズ対ファイターズの試合。
「ライアン」小川対陽。小川を生で見るのは初めてだが、躍動感のあるフォームとリズムの速いテンポは、やはりいい。
吉川対バレンティン。吉川はコントロールが悪い。バレンティンは、私が観に行くとよくホームランを打つ。
今日の東京は穏やかな天気かと思いきや、冷たい風が吹きすさび、寒いの寒くないの。途中から野球を観るどころではなくなってしまった。
我慢できず、6回途中で退散。
ということで家に帰って、マルケヴィチでベルリオーズの「イタリアのハロルド」を聴く。
冒頭は、うねりのある弦の合間から、オーボエやフルートの音色が響いてきて、とても色彩感がある。その後の展開を予想させる場面だ。
ヴィオラはハインツ・キルヒナー。ハープの伴奏を伴って落ち着いた音色を聴かせる。飛びぬけた存在感はないものの、堅実で丁寧な弾きぶりは、オケにしっくりと馴染んでいる。
1楽章は主部に入ると、ベルリン・フィルはこんなに透明感のある音を出せるのかと改めて思い知らされる。フォルテッシモになっても雑味がなく、絶妙なバランスの色あい。弦楽群は直線的でスマート、木管群は垢ぬけた吹きぶり。金管群はあまり前面に出てこないが要所でキラリと光る。
2楽章はどちらかと言えば単調な音楽であるが、これは、それをあえて真正面から受け止めた演奏。奇を衒っていない。じわじわと高揚していく過程で、ヴィオラとフルートが引き立つ。ファゴットに存在感があり頼もしい。
3楽章も正攻法。やや速めでリズムがくっきりしているから、オケのメンバーも弾きやすいだろう。たぶん。
終楽章もまた、ど真ん中ストレート。冒頭の一撃は衝撃。ここにきてトランペット、ホルンの咆哮が炸裂。それらはとても高いレベルで安定している。めくるめくラストは、あたかも糊のきいた上等なワイシャツのように、キッチリと仕立てられている。
録音当時は、まだフルトヴェングラーの影響が色濃く残っていたであろうベルリン・フィルの技術の高さが、この演奏では如実にあらわれている。
ところで、このディスクは「イタリアのハロルド」に「ファウストの劫罰」がカップリングされているが、「ファウスト」は、さらにスゴい。それについては、また来週。
1955年12月、ベルリン、イエス・キリスト教会での録音。
トドのひと休み。
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