ブルックナー 交響曲第4番 ブロムシュテット指揮ドレスデン・シュターツカペレ「ウケる技術」を読む。
ビジネスのコミュニケーションのシーンで、どうしたら笑いをとって場を和ませることができるかということを指南するのがテーマである。
軽い切り返しやジョークの類を期待したのだが、本書の模範解答はけっこう重いものが多い。
あたかもドリフのコントのようなやりとりが満載しているため、笑えるけれども現実的ではないようだ。
ビジネス書を謳っているが、これはエンターテイメントといったほうがしっくりくる。
ブロムシュテットのブルックナー。
この録音は、LPで出た当初にFMだか図書館で借りたかして、聴いたことがある。
やたらに綺麗な演奏だった記憶がある。これを久しぶりに聴いてみる。
作為の少ないブルックナーだと思う。自然体というか、なにげなさを感じる。
残響をたっぷりとらえた録音は柔らかくて透明感があり、聴きやすい。
渋い黄金色の光を放つ冒頭のホルンを始めとして、金管楽器が好調だ。パワフルでほどよく重厚な響きを聴かせる。音の密度が濃いというか、適度に湿り気を帯びているようなしっとり感がある。いい音だ。
それにくらべ、木管と弦はまあ普通。普通といってもドレスデンの音だから、悪くはない。
残響の多さからか、指揮者のスタイルからか、どちらのものかわからないが、細かいところに手が届いている演奏ではない。
冒頭のトレモロが大雑把だったり、副声部がよく聴こえなかったりする。そして、全体に強弱の変化が少ないため平面的な感じを受ける。オケの響きはじゅうぶんなのだけど、変化に乏しいので、なんだか薄いブルックナーなのだ。
この作曲家の演奏では、あまりゴテゴテとデコレートしたものは好まれないようだけど、もう少しメリハリというか、起伏があってもよいような気がする。
とはいえ、そういった印象は、テンシュテットやヴァントの神経質なまでに掘り下げられた演奏と比べるからかもしれない。
あるいは、カラヤンのような徹底的な豪華絢爛さとか。
ああいった演奏を基準にしてはいけないか。
このブロムシュテット盤、多分に牧歌的味わいを前面に押し出した類のものだと割り切ってしまえば、こんなに美しい演奏もそうないだろう。
1981年9月、ドレスデンでの録音。
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