ドホナーニ指揮ウイーン・フィル、ウイーン国立歌劇場合唱団の演奏で、バルトーク「中国の不思議な役人」全曲を再び聴きました(1977年、ウイーンでの録音)。
ドホナーニのバルトークは切れ味バツグン。
このバレエ曲は瞬間的に沸騰するような場面がいくつかあり、それはピアノ協奏曲2番を思い起こさせます。
あたかも短距離走の瞬発力のようなパワーは、バルトークを聴く醍醐味のひとつと言えましょう。
ウイーン・フィルは濃厚な響きを発揮しつつ切れ味よし。トロンボーンとホルンと大太鼓が溶け合うところは、空腹にずっしり響き渡ります。合唱はオドロオドロしくも美しい。
1970年代頃のウイーン・フィルが、バルトークをこんなによく鳴らせているのは珍しいことなのじゃないかと記憶します。
ドホナーニの統率が素晴らしいということでしょう。オーケストラをねじ伏せる、という言い方が妥当かわかりませんが、演奏を聴く限りその情景を想像できなくもない。
ショルティをはじめ、こういう指揮者を昔のウイーン・フィルは好まなかったと伝え聞きますが、いまはどうなのでしょうね。そういう類の指揮者はいないか。
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