ジェフリー・テイト指揮イギリス室内管弦楽団/バターワース「青柳の堤」イギリス音楽はどちらかと言えばあまり積極的に聴かないジャンルである。
ディーリアスにしろV=ウィリアムスにしろ、私にはなにかとらえどころのない感覚がある。
ドイツ音楽のように、形式的というか、伝統的な様式感にのっとられた音楽を聴くような姿勢だと、うまく聴きこなせないのである。聴くときの座り方を少し変えないといけない。
これは、拙宅にある数少ないイギリス音楽のひとつ。
テイトがイギリス室内管弦楽団を振ったCD。
ずいぶん昔に買ったものだが、取り出すのは実に久しぶり。どうしてこの曲を聴きたくなったのかと言えば、ここのところベートーヴェンやブラームス、マーラーの音楽が続いたので、ちょっと軽めの、
素朴な音楽を聴きたくなったからと、私の愛読しているブログで何回か取り上げられているのを読んで聴きたくなったことが理由であろうか。
「青柳の堤」は、31歳で夭折したバターワースの曲の中では最もポピュラーなものだと思う。
CDもいくつかでている。これはまるで、フォスターの歌曲のような、もしくは50年代の西部劇の穏やかな場面のような、乾いていてほんのりとした抒情味がある。
クラシック音楽というジャンルの枠の中にギリギリにいるような軽い味がある。
ここに聴こえるのは、同時代のストラヴィンスキーやベルクのような、時代に挑戦するような尖ったものではなくて、田舎の田園地帯に引きこもったヒトが、自然に深く接することで湧き上がった牧歌である。
テイトの指揮するイギリス室内管弦楽団の輝かしい弦の響きがいい。なんだかはっきりしない、曇り空のような、くぐもった艶がある。なにかがひどく悲しげなのだ。
そして、私自身にはないのだけれども、どこかの国の郷里の山や木々の生き生きとした緑を思い起こさせるような、ノスタルジックな淡い感傷を聴かせてくれる。
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