パノハ弦楽四重奏団員の演奏で、ドヴォルザークのテルツェットを聴きました(1982年5月、プラハ芸術家の家での録音)。
ここで云うところのテルツェットとは、ヴァイオリン2名、ヴィオラ1名による編成を指します。ピアノが入る三重奏はトリオ、旋律楽器だけのものはテルツェットとするのが通例だそうで、実はこの編成による楽曲は比較的多いらしい。ただ、大半はアマチュアや家庭向けに作られたものなので、なかなかプロの演奏会には取り上げられることがないとのこと。そのなかでひときわ光彩を放っているのはドヴォルザークの曲である、とライナー・ノートの筆者である藁科さんは書いています。
おもにヴァイオリンがメインテーマを、ヴィオラが低音部を引き受ける形になりますが、それは曲想によって入れ替わったり、少しお休みしたりと変化します。どの楽章の旋律も、仕事で疲れた体にすうっと沁み渡るよう。とくに2楽章ラルゲットはメロディ・メーカーのドヴォルザークの面目躍如とも云える音楽で、コクがありつつも、ときにざらついた弦の響きがしみじみ美しい。
イジー・パノハ(ヴァイオリン)
パヴェル・ゼイファルト(ヴァイオリン)
ミロスラフ・ゼフノウトカ(ヴィオラ)
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