チョン・キョンファのヴァイオリン、ジュリーニ指揮ベルリン・フィルの演奏で、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を聴きました(1973年5月11日、ベルリン、フィルハーモニーザールでのライヴ録音)。
ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームス、チャイコフスキーが作ったヴァイオリン協奏曲は、俗に「4大」と呼ばれることがあります。
人によっては、チャイコの代わりにシベリウスを、とか、ベートーヴェンならばベルクがいい、などという意見も。
シベリウスもベルクもいい曲だから、このあたりは好みですね。でも、だからと言って入れ替えちゃうと、なんとなく収まりが悪いような気がするのは、4大ビッグネームの呪縛か。
僕はチャイコフスキーを昔から好き。派手で俗っぽいところは好みだし、色気もある。実際、一番よく聴いていると思います。
チョンはセッション録音でも複数演奏していて、いずれもイケているから、このライヴにも期待しました。
テンポは3楽章を除いてゆっくり目。ヴァイオリンもオケも、朗々と、広々と、踏みしめながら歩みます。
ヴァイオリンは音が野太い。なので、中低音がたっぷりとしていて、恰幅よく感じます。ベルリン・フィルの過剰ともいえる重心の低さに負けていない。まるで、がっぷり四つの取り組み。
2楽章のコクがあってしなやかな音色に陶酔、3楽章は威勢よく空気を切り裂く震えが感じとれるようで、痺れました。
ジュリーニがこの曲を振るのを聴くのは初めて。
ソリストとのタイミングはぴったり合っているし、オケの鳴りっぷりもいいので、たいへん聴きごたえがあります。
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