村上春樹(絵・安西水丸)の「これだけは、村上さんに言っておこう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける330の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか? を読む。
これは読者からのメールによる質問にたいし村上が答えるもので、当初はサイトで公開されていたものを書籍化した。よくある人生相談チックな読み物。
中身は4段組になっており量は膨大。なので、面白そうなものだけをかいつまんで読んだ。
なかでは、この質問が印象に残る。
「水前寺清子の愛称は『チータ』ですが、なぜ『チーター』ではないのでしょう」
(30歳、精神科医、京都市在住)
これに村上は直接答えず、「お仕事が大変なことはよくわかりますが、今度はもう少しまともな質問をしてください」と一蹴する。
まあ、これはこれで面白いが、なにか気の効いた仮説を作ってくれると面白かったのじゃないかと思う。
ちなみにウィキペディアによれば、「愛称『チータ』はデビュー前からの物で、小柄であったため『ちいさいたみちゃんの気持ちを忘れないように』と作詞家の星野哲郎が命名したものである」らしい。たみちゃんとは、彼女の本名の民子から。
なるほど。
バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルの演奏で、スメタナの「売られた花嫁」を聴く。
この曲はオペラ・ブッファであり全曲を通すと2時間を超えるが、このディスクにはそのなかから序曲及び3つのダンス音楽が収録されている。
序曲
ポルカ
フリアント
道化師たちの踊り
速い曲ばかりとはいえ、4曲という坐りの良さはちょっとしたシンフォニーのよう。
序曲は有名。ただ、改めて聴いてみるとこんな曲だったかしら、と。ヴァイオリンが速いパッセージをガンガンと弾き、それがだんだんと大きくなっていく。やがてチェロとコントラバスが加勢していくところ、なかなか迫力がある。
ポルカでは弦楽器に呼応するティンパニが楽しい。録音の加減もあるのだろうがしっかりとした皮の香りがする。
フリアントも賑やか。チェロの伴奏にのって歌うオーボエが美しい。
道化師たちの踊りは快速特急。オーボエのソロからはほのかな哀愁が匂い立つ。輝かしいトランペットと切っ先鋭いピッコロが鮮やか。生きる歓びが伝わる。
全体を通して、バーンスタインはとてもキビキビとした棒さばきを聴かせてくれる。ニューヨーク・フィルはフットワーク軽やか。
1965年2月、ニューヨーク、マンハッタン・センター、1963年1月、ニューヨーク、フィルハーモニック・ホールでの録音。
休憩。
重版できました。
「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!PR