D・スカルラッティ 「ソナタ集」 イーヴォ・ポゴレリチ(Pf) 荻原博子の「家計・非常事態宣言」を読む。
年収があがらないこの時代において、どのような資金運用をして老後に備えればよいのか。
切実な問題のようでいて、まだ実感がわかないノーテンキ40男である。高みの見物だ。
この本によれば、FXはもちろん、株も投資信託も個人年金もすべてNGだという。つまり、元本割れのリスクがある運用はやるべきではないと言っている。ということは、暗に普通預金や定期預金にしておけばよいと解釈できるのだが、それもまたどうなのだろう。
とどのつまり、資金の運用などに手を染めるヒマがあったら、汗水かいて日々働くことが、確実なのだといいたいのじゃないかというように読める。ハッキリとは書いていないが。
だとすれば、同感である。
株で1万稼ぐよりは、会社で、あるいは自営で懸命に働いて稼いで貯める。これが堅実だし、まっとうなやりかたではないかと思う。
われながらじつに平々凡々な結論である。スマンスマン。
ポゴレリチのスカルラッティを聴く。
ドメニコ・スカルラッティのソナタといえば、ホロヴィッツのピアノによる演奏を思い浮かべる(というか、それしか知らない)。
ここに収められた曲は、ホロヴィッツのと多少異なると思うが、同じ曲のものについては、なんというかもう、まったく違う曲に聴こえる。テンポはすべてポゴレリチのほうが遅い。遅いうえに、テンポの揺れも大きい。ホロヴィッツのが軽やかで色彩的とすれば、このCDの演奏は濃厚で前衛的。知っている曲ならばどうにか作曲家を当てることができるが、そうでなければ、これを18世紀の音楽とは思えないのじゃないだろうか。
そういう意味では、新しい世界を切り開いた演奏だといえるだろう(もう20年以上前の録音なのだが)。
とはいえ、重量感たっぷりであり、私のお腹にはもたれる。なので、普段聴くのはホロヴィッツということになる。
1991年9月、ハノーファー、ベートーヴェン・ザールでの録音。
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