リヒテルのピアノで、ショパン「幻想ポロネーズ」を聴きました(1988年のライヴ録音)。
この曲を3年前程だったか、知り合いのピアニストが弾くのを聴いて、大いに感銘を受けました。
事前に、何人かの名人と云われるピアニストの演奏を聴いて予習しましたが、名人の誰よりもよかった。ライヴの力も、もちろんあったのでしょう。
そのときの録音は、あるのだろうけどまだ聴いていません。八神純子風に言えば、「思い出は美しすぎて」。
ショパンは嫌いではないけれども、バラードやスケルツォは過去に聴きすぎて、かなり食傷気味。聴きたいピアニストの演目にこれらが載っているとしり込みします。
前奏曲は好きで、ノクターンはまあまあ。マズルカは悪くないけど、ソナタはいい(2,3のみ)。協奏曲はどちらも聴きごたえがあるな。
このように、かなり偏食なのですが、ポロネーズについてもいいと感じるのは「幻想」のみで、この曲ならば、いろいろなピアニストで聴いてみたい。
リヒテルの演奏はまろやか。カドが取れきっていて、枯淡の境地を感じさせます。
切れ味は望めないものの、凪の海のようなおおらかさと安寧が、自分の疲れた体に沁みこむようで落ち着きます。
録音当時、御年72,3歳。彼を東京で聴いたのは確かそのあとだった。リヒテルも多くの音楽家同様、セッション録音とライヴとでは様相が異なります。
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