アラウのピアノでシューベルトのピアノソナタ20番を聴きました(1982年8月、スイス、ラ・ショードフォンでの録音)。
シューベルトの19,20,21番のピアノソナタは、いわゆる後期三大ソナタと云われているけど、20番が昔から好き。1楽章の真ん中へんあたりのチャーミングさ、2楽章の薄ら寒い寂寞感、4楽章の愉悦はいつまでも続いてほしいくらい(これは4番ソナタの最終楽章と同じ旋律なのですよね)。
何人かのピアニストの演奏を聴きましたが、どれも良い。不満はないのに、他の演奏も聴きたくなる。
ということでアラウ。79歳のときの演奏。
音が太い。森の大木の幹のよう。老成したシューベルト、といった感じ。
2楽章は肌ざわりが温かい。世俗の雑事をいっとき許したくなるような。
3楽章は高音がキラキラ。こんなに輝かしく柔和な音、どうやって叩けば出るのだろう。
最終楽章は、テンポは遅めだし、低音がどっしりしているにも関わらず、重くなっていないという不思議。ラストはじんわり。
名演だと思います。
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