オーマンディ フィラデルフィア管弦楽団 20世紀の音楽 山本周五郎の「ひとごろし」を読む。
臆病で名が通っている侍が名誉回復のために上意討ちを志願する。だが相手は、武芸達者な熟練の侍。まともに相手をしたらとてもかなわない。そこで一計を案じる。
ふたりの侍の振る舞いにユーモアが濃厚に漂う、これは時代物のメルヘン。できすぎた話もここまでくると堂々としたものだ。
オーマンディのアイヴス「交響曲第2番」を聴く。
この曲の初演はバーンスタインがニューヨーク・フィルを振って行ったそうで、後にセッション録音も行っている。それとこの演奏を比較すると、両者の個性が明確に出ていて面白い。
速度にメリハリをつけて推進力を強く打ちだしたバーンスタインに対して、オーマンディのはゆったりとしたテンポを基調に、おおらかに歌いあげている。
作曲された時期は19世紀と20世紀を跨っていて、調性はしっかりとあって聴きやすい。全体にほんわかとしており、特に2楽章はアメリカの田舎街をイメージする。
ウィキペディアによれば、「バーンスタインの解釈も、第2楽章や終楽章に致命的なカットを加えたり、アイヴズの速度記号を無視したり、最後の野次るような不協和音を引き伸ばしている」とあるが、このオーマンディ盤では、最後の不協和音はさらに引き延ばされている。アイヴスの伝統的なものに対する抵抗を強く打ち出したものなのか?どうかわからないが、不思議に味わい深い。
1973年2月、フィラデルフィアでの録音。
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