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アンセルメのR・コルサコフ「シェエラザード」

2008.08.16 - R・コルサコフ

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R・コルサコフ「シェエラザード」他 アンセルメ指揮パリ音楽院管


「ゲーテ格言集」(高橋健二訳)を読む。
名言といえばゲーテ、ゲーテと言えば名言、ありがたいお言葉のオンパレードである。
そのほとんどは実務に役立つわけではなく、むしろじわじわとボディーブローを受けているよう。
読んでいるとだんだんとつらくなってくる。
そのなかのひとつ。

『試練は年齢と共に高まる』(「格言と反省」から)

容赦ない一発。
お坊さんの説教をきいているような、ありがたくもあり退屈でもある本であった。



アンセルメの「シェエラザード」は、パリ音楽院管とのほう。
rudolf2006さんの記事を読んでむしょうに聴きたくなり購入。
おもっていた通り、楽しい演奏だ。
1954年の録音でありながらステレオであることがうれしい。企業努力のたまもの。えらい。
「シェエラザード」は特に個人技が試される曲だから、オーケストラの技量が如実にわかるところがあるけれど、このパリ音楽院管弦楽団の演奏はじつに個人技に秀でている。合奏力はさほどではない。
アメリカのメジャーなオケに比べれば、精緻さとバランス感覚は劣るだろう。その反面、ソロ楽器のいきいきとした表情、音色の味わいの深さにおいては、こちらがはるかに魅力的だ。
個人技が光るのは、なんといっても2楽章。
ファゴット、オーボエの清々しくも軽やかな響きがすばらしい。クラリネットの速さ、ピッコロの大胆さ、華やかさ。トライアングルの、思いがけない重厚な響きの意外性。古色蒼然としたホルンの、たっぷりとヴィヴラートのかかった音はおいしすぎる。
次に面白かったのは、4楽章。いつになくもったりしている。このもったりは、鈍重ではなく、都会的に洗練された感じ。トランペットがこってりとヴィヴラートがかかっていてステキだ。朴訥な弦楽器群もユニーク極まる。
機械的な冷たさからは程遠い、すべて手作りの彩り豊かな工芸品。
すべてに人の手の感触がゆきわたっていて、人情の温かみがある。


1954年、パリでの録音
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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま こんにちは

ゲーテは読まなくなって、もう何十年も経っています。今読み返すと、また異なった読み方が出来るのかもしれませんね〜。

アンセルメ・パリコンセルヴァトワール盤、買われたんですね。接ブログの紹介ありがとうございます。
m(_ _)m

アンサンブルの精度は少し劣るかもしれませんが、それを補ってあまりある奏者の名人芸を楽しむことが出来ますよね〜。
手作りの味わいですか、確かに、今ではこういう響きのオケストラを聴くことはできなくなっていますから、そういう意味でも貴重な演奏ですよね〜。

ミ(`w´彡)
2008.08.16 Sat 15:30 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

ゲーテでまともに読んだことがあるのは「ウェルテル」だけです。ゲーテの言葉に接するのは何十年ぶりかでした。
含蓄深い言葉が並んでいますが、わりと説教くさいのです。これをはずみに大作に着手…という感じにはならないデス。

rudolf2006さんのご紹介で出会った一枚です。感謝です。
堪能しました。なんとも楽しい演奏です。
とくに木管と金管には感動しました。この時代のパリでなくては出せない響きです。
こんないいものが、今は聴けないとは。その意味では今は悲しい時代なのかもしれませんね。
2008.08.16 18:52

無題 - neoros2019

アンセルメは当時ロンドンレコードをして売り出しの目玉だったんでしょう
シェエラザードといえばNHK-FMで繰り返しスイス・ロマンドとのものが繰り返しかかっていたのを漏らさずきいていました
HMVでアンセルメ全集など出してくれれば購入してみたい気がします
2008.08.17 Sun 11:45 [ Edit ]

Re:neoros2019さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

アンセルメのシェエラザードといえばスイス・ロマンドとのもののほうが有名ですが、逆にこちらを聴いたことがありません。
アンセルメは、フランスものやロシアものが評価されていますが、ドイツ系もいいそうですね。
いずれ聴いてみたいと思います。
2008.08.17 17:37
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