R・コルサコフ「シェエラザード」他 アンセルメ指揮パリ音楽院管「ゲーテ格言集」(高橋健二訳)を読む。
名言といえばゲーテ、ゲーテと言えば名言、ありがたいお言葉のオンパレードである。
そのほとんどは実務に役立つわけではなく、むしろじわじわとボディーブローを受けているよう。
読んでいるとだんだんとつらくなってくる。
そのなかのひとつ。
『試練は年齢と共に高まる』(「格言と反省」から)
容赦ない一発。
お坊さんの説教をきいているような、ありがたくもあり退屈でもある本であった。
アンセルメの「シェエラザード」は、パリ音楽院管とのほう。
rudolf2006さんの記事を読んでむしょうに聴きたくなり購入。
おもっていた通り、楽しい演奏だ。
1954年の録音でありながらステレオであることがうれしい。企業努力のたまもの。えらい。
「シェエラザード」は特に個人技が試される曲だから、オーケストラの技量が如実にわかるところがあるけれど、このパリ音楽院管弦楽団の演奏はじつに個人技に秀でている。合奏力はさほどではない。
アメリカのメジャーなオケに比べれば、精緻さとバランス感覚は劣るだろう。その反面、ソロ楽器のいきいきとした表情、音色の味わいの深さにおいては、こちらがはるかに魅力的だ。
個人技が光るのは、なんといっても2楽章。
ファゴット、オーボエの清々しくも軽やかな響きがすばらしい。クラリネットの速さ、ピッコロの大胆さ、華やかさ。トライアングルの、思いがけない重厚な響きの意外性。古色蒼然としたホルンの、たっぷりとヴィヴラートのかかった音はおいしすぎる。
次に面白かったのは、4楽章。いつになくもったりしている。このもったりは、鈍重ではなく、都会的に洗練された感じ。トランペットがこってりとヴィヴラートがかかっていてステキだ。朴訥な弦楽器群もユニーク極まる。
機械的な冷たさからは程遠い、すべて手作りの彩り豊かな工芸品。
すべてに人の手の感触がゆきわたっていて、人情の温かみがある。
1954年、パリでの録音
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