三浦勇夫と土屋賢二の「『ゆる人生』のススメ」を読む。
これは、精神科医と哲学者の対談集。
題名の通り、とても緩い内容である。全体を通して、ユーモアはないよりはあったほうがいいな、というようなテーマが流れているが、ただの茶のみ話である。内容は、ない。ただ、会話そのものがユーモアたっぷりなので、飽きさせずに読ませられる。というよりは、それが二人の狙いであったのだろう。
人生に意味はない。
だったら笑おうよ。
楽しかった。
井崎正浩が指揮をとった、ワグネル・ソサィエティー・OBオーケストラの演奏会を聴いた。
ベートーヴェン 交響曲3番「英雄」
チャイコフスキー 交響曲6番「悲愴」
重量プログラムであるが、両方とも短かく感じた。
ベートーヴェンは、インテンポでサクサク進む実直な演奏。強弱の変化が頻繁にみられ、それが降り幅の広さを与えていた。巧妙でかつ自然。
特に2楽章が聴きものだった。掠れたヴァイオリンの塩梅のよさ、そして落ち着いた音色を醸し出していたオーボエが見事。
全体を通して、テキパキした生きのよさに加えて、まろやかな情感が滲み出る演奏だった。
チャイコフスキーは正攻法。いたずらにテンポをいじらず、また強弱の変化も大きくは見せなかった。ただ、冒頭のあたりと終楽章においては、間を大きくとり、感傷的な味わいを色濃くみせた。
1楽章のラスト近くでは、クラリネットのソロが立派で、その伴奏役の木管・金管群が弱音を丁寧に制御していた。そのあたりは2楽章の後半についても言うことができ、このあたりとても精緻であった。
3楽章は野太く勢いがあった。この曲は、生で聴くと震えるな。大太鼓は女性で、会心のドヤ顔。ここが終わったところでブラボーが入った。本人は恥ずかしがっているだろうか、あるいは確信犯か。いずれにしても嫌いではない。
終楽章はラストのコントラバスが滋味深い。しみじみいい曲である。
全体を通して、ヴァイオリンが対抗配置のスタイル。ベートーベンではそれが生きたが、チャイコフスキーではそれほど効果がないような気がした。
井崎の指揮はケレン味がなく的確でよい。専門的なことはわからないが、奏者からみてわかりやすい指揮だったと感じた。
2014年2月23日、東京、すみだトリフォニー・ホールにて。
またまた魚市場。
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