忍者ブログ

"つまらない人生入門"、アファナシエフ、シューベルト"17番"

2014.03.01 - シューベルト





春日武彦(文), 吉野朔実(漫画)の「つまらない人生入門 (鬱屈大全)」を読む。

これは不思議な本だ。精神科医である著者が、過去の「つまらない」出来事を断片的に書いている。
そこには過去に対して、こうすればよかったとか、こんなことをするべきじゃなかった、というような後悔はなく、ただただ事実が淡々と描かれている。

漫画もまたフシギ。著者のひとつのエピソードごとに挿入されているのだが、文章とリンクしていない。こちらはこちらで、独自の話を展開させている。漫画はフィクションだろうと思われるが、なんだか鬱屈している。

文章にも漫画にもオチはない。もやもやしている。
それが人生なのだ、ということだろう。









アファナシエフのピアノでシューベルトのピアノ・ソナタ17番を聴く。

彼のシューベルトというと、「幻想ソナタ」での長い長い演奏が印象に残っているので、この曲においてもユニークなピアノになることを予想したが、はずれた。

テンポは至極まっとうで、大きな変化球も見せない。澄んだ響きでもって、快活に演奏している。もっともこの曲はニ長調なわけだから、明るいのは当然かもしれないが、なにしろシューベルト晩年の作品である。陰をみつけて、それを大きくフォーカスするような手立てもありそうだが、アファナシエフはそうしなかった。
2楽章の試みは面白い。第1テーマをスタッカートで鳴らせている。アファナシエフがやろうとすれば、谷底に落ちるような音楽に仕立てることも可能であるだろうが、このスタッカートが音楽を健全な地上(?)に留めさせている。しかし、美しい。
3楽章は、適度な重量感をもった立派な演奏。左手のアクセントがよく利いていて、音楽を活発にしている。


ライナー・ノートでアファナシエフは、こう書いている。
「シューベルトの最晩年のピアノ・ソナタは、日本の"時"だ」。
として、与謝蕪村の句を引用している。

水仙や
寒き都の
ここかしこ

「シューベルトの『天国的な』旋律は、すなわち水仙は、冬のピアニッシモの中で開花するように演奏されると、より純度を増していく。水仙よ!」。

よくわからない。笑




2010年9月、ルガーノ、RTSI放送局アウディトリオでの録音。








ma


青空。










PR
   Comment(0)    ▲ENTRY-TOP

Comment

コメントタイトル:
投稿者名:
Mail:
URL:
投稿内容:
Password: ※1
Secret: 管理者にだけ表示を許可する※2
※1 パスワードを設定するとご自分が投稿した記事を編集することができます。
※2 チェックを入れると管理者のみが見ることのできるメッセージが送れます。
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
4 5 6 7 8 9
11 12 13 14 15 16
18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ポチっとお願いします(´_`\)  ↓ ↓ ↓
最新TB
カテゴリー