河野真有美さんのプロデュースによる「IL CONCERTO VIA LATTERA」コンサートに行きました(2017年7月23日、南長崎、ひびきホールにて)。
加地笑子(ソプラノ)
保川将一(バリトン)
河野真有美(ピアノ)
3名とも最初の数曲はいまひとつエンジンが温まっていない感じを受けました。
メンデルスゾーンのピアノ・ソロあたりから本来の持ち味であろうものが出てきたように思います。
河野さんのピアノはタッチが柔らかく、全ての音が丸みを帯びています。フォルテシモでもけっして音が割れない。だから、安心して聴くことができる。
無言歌集からは「海辺で」と「胸さわぎ」が奏されました。屈託が少ない初期ロマン派の天才の憧れが、馥郁たる芳香を放っていました。彼女が弾くロマン派ピアノ音楽は水際立って素晴らしい。
前半の演目はフランス、日本を中心としたリートで、お二人ともキメの細かい歌を披露しました。
でも、彼女たちの持ち味は後半のヴェルディによって最も発揮されたと思います。
加地さんの声は透明感があってまっすぐ。若干舌足らずなところはフォン・シュターデを思わせ、とてもチャーミングです。「そはかの人〜花から花へ」と「天使のように清らかな娘」は清楚であり、かつドラマティックなもので、惚れ惚れさせられるとともに、手に汗を握る緊張感をも孕んでいました。充実した歌唱です。
保川さんのバリトンは、輝かしくてしなやかで表情豊か。ヴェルディ・バリトンにふさわしい力量を兼ね備え、華やかな雰囲気を醸し出していました。高音が苦しい箇所があったものの、全体的にはうまくまとめていたと思います。
素敵なコンサートをありがとうございました。
パースのビッグムーン。
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