新国立劇場によるR・シュトラウス「ばらの騎士」公演に足を運びました(2017年12月9日、初台、新国立劇場にて)。
メルベートのマルシャリン、ウルフ・シルマー指揮の東京フィル、演出はジョナサン・ミラー。
「ばらの騎士」は7月に二期会の舞台を観て以来。
今回の演出は再演ですが、音楽の流れを損なわないオーソドックなもので、気に入りました。
マルシャリンは素晴らしかった。知性と美貌を兼ね備えており、歌は毅然としているなかに哀感を湛えていました。見た目もなかなか貫禄があり、いい配役だと思います。
オックスもなかなか良い。隙のない歌唱と演技に唸らされました。コミカルな部分も滞りなくこなしていました。
ゾフィーは軽やか、かつしなやか。先日もCDを聴いて同じようなことを書きましたが、中音域から高音にかけての伸びがルチア・ポップを思わせました。要するに、ポップの歌が好きなのです。
オクタヴィアンは声があまり通っていなかったように感じます。風貌はどんぴしゃりで恰好よかったので、そこは少し残念な気がします。
東京フィルを聴き始めて40年ほどになりますが、今までで最高クラスのパフォーマンスだと思いました。響きはきめ細かくブレンドされ、とても弾力に富んだ躍動感のある演奏。個人技も優れており、とくに三幕におけるクラリネットとチューバは鮮やかでした。
シルマーの指揮はウイーン風というなのか、オックスのワルツでテンポを思い切り落としてねっとりと歌わせるところが印象的でした。全体を通しては、堅実。いいリードだったと思います。
合唱もすばらしかった。
終幕後は千秋楽ということもあるのか、大きな喝采が続きました。
【元帥夫人】リカルダ・メルベート
【オックス男爵】ユルゲン・リン
【オクタヴィアン】ステファニー・アタナソフ
【ファーニナル】クレメンス・ウンターライナー
【ゾフィー】ゴルダ・シュルツ
【マリアンネ】増田のり子
【ヴァルツァッキ】内山信吾
【アンニーナ】加納悦子
【警部】長谷川 顯
【元帥夫人の執事】升島唯博
【ファーニナル家の執事】秋谷直之
【公証人】晴 雅彦
【料理屋の主人】加茂下 稔
【テノール歌手】水口 聡
【帽子屋】佐藤路子
【動物商】青地英幸
新国立劇場合唱団
パースのビッグムーン。
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