ドミンゴのタイトル・ロール、アバド指揮ウイーン国立歌劇場・他の演奏で、ワーグナーの「ローエングリン」を視聴しました(1990年、ウイーン国立歌劇場でのライヴ録音)。
先日に引き続き、ドミンゴのローエングリン。
このディスクでは、オルトルートを歌ったヴェイソヴィチを大変気に入りました。昔、彼女をNHKホールで「ヴォツェック」のマリー役で観ています。あれも素晴らしかった。陰影があり、なおかつコクの濃い声が素晴らしかった印象があります。ここでのオルトルートは深い深い怨念が込められていて、聴いていて身震いするほどです。じつに奥行きのある歌唱。対するエルザ役のスチューダーも大好きな歌手で、いい歌を披露していますが、こと2幕においてはヴェイソヴィチにやや軍杯があがるかな、と。
ドミンゴは、これの4年ほど前にショルティとセッション録音した状態を保っています。とても若々しい。彼の持ち味である、硬質で輝きのある声は健在です。
ウイーン・フィルはしなやかで、なかなか機動力にも優れています。とくに3幕における前奏曲から、中盤で国王登場の前段階、金管による鮮やかなファンファーレには心躍るよう。いっぽう弦楽器は、終始細やかに聴かせます。
アバドの指揮はショルティのような力強さはないものの、彼らしく、どの場面も丁寧にケアしています。
演出にあまり拘りはありません。でも、舞台装置、衣装、演技はいたって自然な佇まいでオーソドックスな感じがしたし、音楽に集中できる点でいいものだと感じました。
プラシド・ドミンゴ(ローエングリン)
シェリル・ステューダー(エルザ)
ハルトムート・ヴェルカー(テルラムント)
ドゥニャ・ヴェイソヴィチ(オルトルート)
ロバート・ロイド(国王ハインリヒ)、他
演出:ヴォルフガング・ヴェーバー
装置:ルドルフ・ハインリヒ、ラインホルト・ハインリヒ
パースのビッグムーン。
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