ラザール・ベルマンのピアノで、リストの「巡礼の年、第2年『イタリア』」を聴きました(1977年5月、ミュンヘン、ヘラクレス・ザールでの録音)。
「巡礼の年」はリストが20歳代から60歳代にかけて断続的に書かれた作品です。よって、彼の創作人生の大半をここに垣間見ることができるといってもいいかもしれません。
そのうちの「第2年、イタリア」は20代後半から40代後半にかけて作曲・改訂されています。最後の3曲は、「ヴェネツィアとナポリ」という標題で補遺されました。
なかでも「ダンテを読んで」は単独でも取り上げられる、17分前後にわたる大曲であり、難曲とされています。
1.婚礼
2.物思いに沈む人
3.サルヴァトール・ローザのカンツォネッタ
4.ペトラルカのソネット47番
5.ペトラルカのソネット104番
6.ペトラルカのソネット123番
7.ダンテを読んで
8.ゴンドラを漕ぐ女
9.カンツォーネ
10.タランテラ
ベルマンのソノリティは色鮮やかで豊満。厚みがたっぷりとあるから、各曲は比較的短いものの、柄の大きさを感じます。
「ローザのカンツォネッタ」は明るくて楽しい。この曲も、単独でよく取り上げられるでしょう。
3つの「ソネット」は夜の音楽。帳が月の香りを纏わせながら、しっとりと下りてくるようです。とりわけ、104番はロマンティシズムが濃い。
「ダンテを読んで」。縦横無尽のテクニックが肩で風を切るようなシーンもあれば、夕刻に小雨降るような叙情的な部分も。弱音がスウッとしていて綺麗。
「ゴンドラを漕ぐ女」は点描画のようなタッチがチャーミング。「カンツォーネ」と「タランテラ」はかなりの技巧を要する曲だろうけど、軽やかに鮮やかに弾き切っています。
パースのビッグムーン。
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