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ベルマン、リスト、"巡礼の年 第3年"

2018.01.02 - リスト

ma


 
今年の初聴きは、ラザール・ベルマンのピアノで、リストの「巡礼の年、第3年」(1977年5月、ミュンヘン、ヘラクレス・ザールでの録音)。
 
この曲集の多くは、1877年あたりに作曲されています。ときにリストは60代後半。不協和音がときおり顔を見せ、内省的で神秘的な曲が多いことが特徴と言えます。有名な「エステ荘の噴水」はそういった要素も強いし、独特なアルペジオを用いていることから、ドビュッシーに大きな衝撃を与えたと云われています。


1.夕べの鐘、守護天使への祈り
2.エステ荘の糸杉にI:哀歌
3.エステ荘の糸杉にII:哀歌
4.エステ荘の噴水
5.ものみな涙あり/ハンガリー風に
6.葬送行進曲
7.心を高めよ


ベルマンのピアノは、相変わらず透明感を湛えており、青空のような広がりを感じます。トルクに余裕があって、スケールが大きい。
「夕べの鐘」は渋い曲ですが、静寂からそっと立ちのぼるピアニシモの響きが幻想的で痺れます。
「哀歌」は冬仕様の分厚いカーテンのよう。色彩はシックで簡素でありつつ、熱い血を感じさせます。
「エステ荘の噴水」のアルペジオは、粉雪のように軽やかで、かつ質感があります。最弱音がじつに繊細で味がいい。
それとは対照的に「ものみな涙あり」、「葬送行進曲」はいかめしい。重低音に濁りなし。
「心を高めよ」は曲名通り、古跡のような荘厳さに加え、高揚感があります。








ma
 
パースのビッグムーン。

















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Comment

天性のリスト弾き - 木曽のあばら屋

こんにちは。
「巡礼の年」の決定盤と言えばこれですね。
ベルマンは、リストの名盤をいろいろ残していますが、
ショパンに関してはこれといったものがないですね。
天性のリスト弾きだったのでしょうか。
特異な存在のピアニストでした。
2018.01.02 Tue 22:45 URL [ Edit ]

木曽のあばら屋さん、こんにちは! - 管理人:芳野達司

巡礼の年の全曲を聴くことはなかなかないのですが、このディスクは何度聴いても飽きません。
そういえば彼のショパンは、聴いたことがないですね。
一度生を聴いてみたかったものです。
2018.01.03 11:45

エステ荘の噴水 - yoshimi

「巡礼の年」の第3年でよく聴いたのは、この「エステ荘の噴水」くらいです。
ドビュッシーの「水の反映」とラヴェルの「水の戯れ」は、旋律はかなり違いますが、作風は「エステ荘の噴水」に似ていますね。
晩年のリストは、来るべきが印象派の先駆けだったように思いました。

ベルマンの「巡礼の年」は第1年ばかり聴いていました。ブレンデルに比べて、明るく優美でチャーミングです。1960年代の「超絶技巧練習曲」
の剛腕というイメージとは違います。
2018.01.06 Sat 14:54 URL [ Edit ]

印象派みたいな「エステ荘の噴水」 - yoshimi

こんにちは。
「エステ荘の噴水」は、ドビュッシーの「水の反映」とラヴェルの「水の戯れ」と、旋律はかなり違いますが、作風が似ていますね。
印象派の曲と間違えそうになるくらいです。

ベルマンの「巡礼の年」は第1年の方を聴きましたが、ブレンデルに比べて、明るく優美でチャーミングです。1960年代の「超絶技巧練習曲」の剛腕イメージとは随分違いました。
2018.01.06 Sat 15:02 URL [ Edit ]

yoshimiさん、こんにちは! - 管理人:芳野達司

印象派の音楽にあまり明るくないのですが、「エステ荘の噴水」を耳にすると、少し知っているドビュッシーやラヴェルを連想します。
おっしゃる通り、ベルマンのピアノは「超絶技巧練習曲」とは違うように感じます。とても優美で繊細、彼のピアノをもっと聴きたくなりました。
2018.01.06 19:39
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