ラヴェル 組曲「マ・メール・ロワ」他 ジュリーニ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団ラヴェルはこの曲を1908年にピアノ連弾用として作曲した。それを1911年に管弦楽用に編曲している。それが紹介の曲である。それをさらに、パリ・オペラ座の支配人ジャック・ルーシェの提案でバレエ音楽化したのが1912年である。「マ・メール・ロワ」は、フランス語で「マザー・グース」を意味する。
組曲は「眠りの森の美女のパヴァーヌ」、「おやゆび小僧」、「パゴドの女王レドロネット」、「美女と野獣の対話」、「妖精の園」の5曲からなっている。
このCDでのコンセルトヘボウ管弦楽団の演奏は素晴らしい。全てのパートの音に角のとれたまろやかさがあり、華があり、合奏の溶け具合は絶妙で、幻想味を余すところなく出していて申し分がない。
ベルリン・フィルのように低弦はきつくないし、ウイーン・フィルよりもメリハリがはっきりしている。
オーケストラの演奏として、これ以上を望むのは難しいくらいに、完成されているように思う。
ジュリーニがこのオーケストラで初めて行ったスタジオ録音であり、これは1989年のもの。
ジュリーニは、70歳を過ぎたあたりからますますテンポが遅くなって、重心の低い音を出すようになってきたように感じられるが、それは、コンセルトヘボウを始めとしたヨーロッパの伝統あるオケを振っているから余計にそう思うのだろう。
聞くところによれば、彼の家庭の事情で遠隔地に客演することが難しくなったゆえに、専らヨーロッパでの活躍が中心となったようだが、60代の頃のようにシカゴやロスアンゼルスのオケを振っていたら、また違う味わいのものになっていたのだろう。
彼のテンポの遅さ、それは決して短所というわけではないのだけど、それがアメリカの明るくて軽やかなオケとやったら、それはそれでとても魅力的だったのだろうと想像するに難くない。PR
無題 - Niklaus Vogel
Re:Niklaus Vogelさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司
TBありがとうございます。
仰るとおり、重厚でふわったとした感触ですね。全編に渡って、まったりとした音色で彩られた演奏です。ドヴォルザークもいい演奏です。コンセルトヘボウはいいですね。不思議なカプリングではありますが。
ロサンゼルスとのものは響きそのものは硬質でした。解釈は基本的に同じように思えますが、出来上がりはだいぶ違うようです。面白いものであります。
2007.05.11 23:28
無題 - HIROPON
Re:HIROPONさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司
ジュリーニは「新世界」を確か3回録音したので、この曲を得意としていたのだと思うのですが、コンセルトヘボウとの演奏は素晴らしいですね。オケの音色は柔らかく、ジュリーニの歌わせ方も絶妙です。
この「新世界」は当初、同じドヴォルザークの「7番」が組み合わされた2枚組で、『なんで2枚買わなくちゃいけないの』と思っていましたが、「7番」も実にいいものでした。
2007.05.12 10:25
無題 - rudolf2006
Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司
ジュリーニのフランスものは、ラヴェル、ドビュッシー、フォーレなどありますが、ごく一部の曲に偏っています。彼のお気に入りだったのでしょう。ゆったりとしたいい演奏だと思います。
逆にアンセルメのものをあまり聴いていないかもしれません。聴いてみたくなります。
私もこのところCDの購入量が激増しました。まだ健全な範囲ではありますが。
2007.05.12 15:48
無題 - garjyu
無題 - garjyu
Re:garjyuさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司
TBありがとうございます。
ジュリーニのフランスものは意外といっては失礼ですが、とてもいいものでありました。コンセルトヘボウの魅力も満開です。それを引き出した指揮者の力量も尋常ではないのでしょう。
ロスフィルのものもカラッとしていて良かったです。テンポは同じですが、響きが全然違いますね。
2007.05.12 15:53
無題 - sweetbrier
Re:sweetbrierさん、おはようございます。 - 管理人:芳野達司
ロサンゼルスとのものもとてもいいですね。やはりテンポはゆっくりめで、こちらはカラッとした響きを堪能しました。
ロサンゼルスのものは1979年の録音でしたか。コンセルトヘボウの演奏はちょうど10年後に録音されました。ジュリーニにしては間隔が短いような気がします。レコード会社の思惑もあったのでしょうが、彼が気に入っていた作品なのでしょう。
2007.05.13 09:51
無題 - mozart1889
Re:mozart1889さん、おはようございます。 - 管理人:芳野達司
TBありがとうございます。
この盤で、ACOのよさをしみじみ感じました。各楽器奏者はうまいし、柔らかいし、合奏の溶け合う響きは本当に屈指のものだと思います。
ジュリーニの「歌」にもほんとうに魅せられます。手触りがきめ細かくて、いい夢をみているような感じです。
ソニーのやわらかい録音も絶妙で、ACOの魅力を充分に出していると思いました。
2007.05.13 10:00
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