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グリュミオーのバッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ」第3番

2007.05.09 - バッハ


グリュミオー

バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ アルテュール・グリュミオー


ヴァイオリン独奏の曲で有名な曲というと、バッハとパガニーニ、そしてバルトークとイザイなんていうところがあるけれど、他にはパッと思いつかないから、意外に少ないのではないだろうか。
室内楽や管弦楽曲に対しては、かなりの高打率で出演しているのにどうしてだろうか。特にオーケストラ曲なんて、ティンパニやピッコロがひとりでがんばっているのに、ヴァイオリンは10人も20人も群れを組んで参加している。大勢で同じものを弾いているくせに、ブラームスの交響曲やシュトラウスの交響詩とかではソロで弾く場面があったりするし、コンサートマスターは必ずヴァイオリン弾きということになっている。いささか態度が大きい。弦楽四重奏については、4人しかいないのに、図々しくもその半分に登場している。あきれるばかりだ。
群れをなしたがるけれど自立できないヒト。
そういう印象をぬぐうことはできない。

なんて、意味不明なイチャモンをつけてみたが、ホントは大好物だ、ヴァイオリン。ことにバッハのこの曲には独特の味わいがある。
ヴァイオリン1挺だと、色彩感の多様さとかハーモニーの薄さを感じないわけにはいかないが、バッハは、音楽のそういった要素をわきに置いておいて、あたかも木の香りのするような音色の感触と、のびやかなメロディーでもって、簡素でかつシリアスな音楽を目指したように思える。
ここにはヴァイオリンという楽器の持ち味が充分に発揮されていて、こんな小さな1個の楽器だけでもお腹いっぱいになる。

これは、1921年生まれのグリュミオーが40歳くらいの頃の録音。音が軽い。その軽さが、このバッハの明るい舞曲によく合っているように思う。ヴァイオリンの音は美しいが、滑らかというよりは、弓と弦とが摩擦するゴリゴリとした手触りを感じる生々しさがあり、それが豊かな残響として程よく溶けこんでいる。音の広がりが大きくて、広い空間を感じさせる演奏だ。





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Comment

無題 - sweetbrier

こんばんは。
前振りのイチャモンに笑い、本題のヴァイオリンの音色について書いておられるところにゴツンと突き当たって読み終わりました。なるほどー。

ヴァイオリンの音色について、私はまだまだ語る言葉を知らないと思いました。私は同じラインナップを1967年録音のシェリング演奏を持っています。ライナーノートによると、ひところはヴァイオリンを志すひとの必携アイテムだったとか。でも今は誰もシェリングのように演奏しないそうです。
こちらは、読むだけではさっぱりわかりませんでした(^^;)ヾ
昨年暮れのものになりますが、拙ブログのエントリーをTBさせていただきますね。
2007.05.09 Wed 23:56 URL [ Edit ]

Re:sweetbrierさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

TBありがとうございます。
前振りはちょっといきりたってしまいました。いつも通り思いつきなのです。
シェリングは名盤の誉れ高いものですね。残響が少ないのですか。ごまかしがきかないので(グリュミオーがごまかしてるわけではないと思いますが…)演奏するほうは大変でしょう。いずれ聴かなければいけないと思っています。
2007.05.10 21:29

無題 - 凛虞

吉田さん、こんばんは!
> 弦楽四重奏については、4人しかいないのに、図々しくもその半分に登場している。
ヴィオラもチェロもガンバ属ではなくヴァイオリン属ですから、カルテットは言ってみれば、一族徒党を組んでの壮大なる内輪話のようなものです(笑)?! 会社の同僚に「来月のマンスリー企画のことで頭がいっぱいなんだよね~」と言うようなものかもしれません(爆)。吉田さんは何番までやりますか?
2007.05.10 Thu 23:18 URL [ Edit ]

Re:凛虞さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

弦楽四重奏ネタのときは凛虞さんなのですね!
>壮大なる内輪話
なるほど、ハイドンから現代まで受け継がれる大河のような流れは壮大であります。
来月のマンスリー企画は楽しみながら悩んでマス。まず4番までを何にするかが…。かなり倍率の高い戦いになります。5番以降はやや緩くなりますがそれでも選択は厳しいですね。10番以降になると今度は逆にかなり限定されるので、これも難しい。そう考えるとキリのいいところで10番までが妥当か…と現状は思っています。
2007.05.10 23:36
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