奥田英郎の短編集「わが家の問題」から「夫とUFO」を読む。
これは、最近UFOと交信をしているらしい夫と、それを心配して気遣う妻の話。
ふたりは職場結婚なので、妻はまだ会社に在籍している元同僚から夫の状況を訊き出す。どうも、派閥闘争に巻き込まれて苦労しているらしい。その気苦労から、UFOとの交信などという妄想に走っているのだと理解する。
そしてある夜、妻は宇宙人っぽい奇抜な恰好で川べりに佇む夫の前に登場するのだが・・・。
他に、会社の草野球大会でさんざん揶揄されている夫は仕事ができないのではないかと勘繰る妻の話「ハズバンド」や、両親の様子がどうもおかしいことを察知し離婚を考えているのではないかと懸念する高校生の娘の話「絵里のエイプリル」など、面白い。
いずれも題名通り身近にある家族の問題を人情味豊かに温かく描かれた作品集である。
クレンペラーの指揮でマーラーの交響曲7番「夜の歌」を聴く。
これは、空前にしておそらく絶後の奇演として誉れが高いものだ。
まずは、保有盤との演奏時間を比較してみる。
クーベリック バイエルン放送響
72:58 ( 19:48 / 15:27 / 9:23 / 11:53 / 16:27 )
アバド シカゴ響
78:33 ( 21:24 / 16:36 / 8:52 / 14:00 / 17:41 )
バーンスタイン ニューヨーク・フィル
79:18 ( 20:48 / 16:38 / 9:32 / 14:35 / 17:45 )
ハイティンク コンセルトヘンボウ管
80:49 ( 22:47 / 15:31 / 10:58 / 12:51 / 18:42 )
インバル フランクフルト放送響
79:29 ( 24:36 / 14:38 / 10:15 / 13:13 / 16:47 )
ショルティ シカゴ響
77:28 ( 21:35 / 15:44 / 9:14 / 14:28 / 16:27 )
レヴァイン シカゴ響
80:09 ( 21:35 / 15:51 / 10:15 / 14:42 / 17:46 )
テンシュテット ロンドン・フィル
79:15 ( 21:38 / 16:17 / 9:37 / 14:33 / 17:10 )
クレンペラー ニュー・フィルハーモニア管
100:20 ( 27:47/ 22:08 / 10:28 / 15:42 / 24:15 )
実際に聴く前からこの遅さは知っていたから、ある程度の予想はついた。
だからさほど違和感はなかったし、何度か聴くうちにすっかり慣れてしまう。
確かに遅いとは思うものの、クレンペラーはリズムがよいし、テンポの揺れが少ない。それに加えてヴァイオリンの対抗配置ということもあって低音が抑えられており、もたれるところはない。
テンポは、遅ければ遅いほど音楽のスケールも比例して大きくなる傾向があるが、この演奏はそうしたことを狙ったものではなく(スケールの大きさは何故かさほど感じない)、副声部を明瞭に聴かせることを主眼に置いたものと思われる。一時期のブーレーズのように、総符を顕微鏡で見るような演奏。ひとつの音たりともないがしろにしない。例えば1楽章の再現部での木管のトリルなど、他の演奏では聴くことのできないものだ。
これはこれでひとつの見識であろう。
ニュー・フィルハーモニア管もよく粘っている。
1968年11月、ロンドン、キングズウェイ・ホールでの録音。
冷やし中華とツイッター始めました!秋の終わり。
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