三浦知良の「やめないよ」を読む。
これは、ご存じ日本サッカーの「キング」カズが、日経新聞に隔週で連載したコラムをまとめた本。
彼の若い頃、生意気で嫌な奴だと思っていたが、40歳を過ぎて書かれたこの本を読むと、いい具合に人生を熟成させているなあと畏敬の念を感じないわけにいかない。
一回につき、新書で2ページ。そのなかに彼の意見が端的に描かれている。編集者の校正は当然あったのだろうが、それにしてもなかなかの手腕だ。
2010年12月、リーグ最終戦に寄せた言葉がとてもいい。
「ふつう、会社員であれば、40歳を過ぎるとそれなりの地位に就いているのかもしれない。けれども、僕は一選手だから、あるときは監督からの指示に従い、あるときは18歳の選手と同じジャージを着て、同じメシを食堂で食べる。そんな環境にサッカー選手として浸っていられることが本当に幸せで、楽しい」。
私も現場の人間でありたい。
クレンペラーの指揮でマーラーの交響曲9番を聴く。
テンポ設定といい、楽譜との距離感といい、ジュリーニ/シカゴ響の演奏に似ている。
いや、もちろん年代を考慮すれば、ジュリーニのやり方がクレンペラーに似ているわけなのだが。
オーケストラの機能は、ジュリーニとシカゴのほうが数段優る。金管のパンチ力や弦楽の精密さと輝き、これ以上は想像できないくらいにいい。シカゴ響の最盛期のものだ。
ただ、ヴァイオリンの対抗配置をとったクレンペラー盤もいい。テンポはやや遅めくらいであるが、クレンペラーとニュー・フィルハーモニア管の響きは相変わらず軽めなので、重すぎない。風通しがいい。
副声部がクッキリと浮かび上がらせる指揮者の手腕はここでも健在。マーラーの直弟子でありながら、必要以上な思い込みをすることなく、サバサバした佇まいが心地よい。
両端楽章はよく歌っており、中の2楽章はリズム感がよく、ティンパニの切れ味も見事。ヴァイオリンの対抗配置は、終楽章で特に生きている。左右からの滔々とした流れは、この演奏のひとつの頂点。
ただ、残念なのは、4楽章の15:05あたりでフルートが破綻していること。これがなければ、完璧に近い演奏。
1967年2月、ロンドン、キングズウェイ・ホールでの録音。
冷やし中華とツイッター始めました!いい天気。
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