マーラー 交響曲第3番 ゲルギエフ指揮 ロンドン交響楽団、他ロバート・B. パーカー(菊池光訳)の「レイチェル・ウォレスを捜せ」を読む。
探偵スペンサーは、レズビアンでフェミニストの女のボディガードを依頼される。ボタンの掛け違いがあってクビになり、ほどなくして女は何ものかに誘拐される。探偵の必死の捜索が続く。
スペンサーの、街のチンピラや警官との会話がいい。やたらと気の利いたセリフを口にする。つまらない会話は悪だ、と言わんばかりに。ハンフリー・ボガードの名前が文章中に登場しているし、きっと作者は彼の映画に影響を受けてスペンサー像を作り上げたのだろう。
ボガードの役柄と異なる点は、料理がことのほか上手だというところ。それが絵になるのが彼の魅力。
ゲルギエフの指揮でマーラー3番を聴く。
これは、ゲルギエフが2007年にロンドン交響楽団の首席指揮者となってから開始されたマーラー・チクルスの第一弾。彼は同じ年にマリインスキー劇場管ともマーラー・チクルスをやっており、このときも3番が最初に演奏されたらしい。
演奏は、比較的速めのテンポでぐいぐい進むものの、ディテイルをおろそかにしない。
ゲルギエフというと「春の祭典」での野性味たっぷりの演奏が印象的なので、けっこう荒っぽいマーラーを予想したが、いい意味で裏切られた。
ことに弱音で奏されるところの、フレーズとフレーズとの合間の扱いがとても丁寧。テンポにけっこう変化があるが、自然に聴こえ違和感はない。それは両端楽章に顕著に現れていて、この演奏の聴きどころのひとつと言える。
4楽章も素晴らしい。ラーションの歌唱が見事。なにも特別なことはやっていないようだが、声と歌いまわしがオーケストラによく馴染んでいる。声に深みがある。これ以外はなかろうという気にさせられる。
5楽章は少年合唱を使っている。この曲は、やはり女声合唱よりも少年合唱がしっくりくる。
アンナ・ラーション(メゾ・ソプラノ)
ティフィン少年合唱団
ロンドン交響楽団合唱団
2007年9月、ロンドン、バービカンホールでのライヴ録音。
パースシティの夜景。
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