ドストエフスキー(亀山郁夫訳)の「カラマーゾフの兄弟」第3部を読む。
読み始めたのは春。読了するのに3-4ヶ月かかった。
この著作を読むのは大学生以来のことだから初めてではない。にも関わらず時間がかかってしまったのは、老人力の進行の高さか、あるいは読みこみの深さか。
ゾシマ長老の死からミーチャの拘留までおおよそ500ページ、長かった。
前半は4分の1くらいで、ここはもちろん3男のアリョーシャが出てくるわけでここはいいのだが、あとのミーチャ(長男のドミトリー)のくだりがとても長い。
ここでは、ミーチャが父親のフョードルを叩き殺すくだりが入っていて、もちろんこれはこの長編小説の白眉のひとつであるわけだが、そのあとが長い。3000ルーブルだか1500ルーブルだかを一晩で使って豪遊する(1ルーブルは1000円に相当するらしい)シーンの長さ、事情聴取のシーンの遅さ。正直、読むのに苦労した。
顰蹙を承知で言うが、冗長感は否めない。
これに比べると、「罪と罰」の、なんと端的であることか。
最初に読んだとき、イワンの「大審問官」とアリョーシャの振る舞いしか記憶に残らなかった。なるほど、と思う。あのあたりは、読み物として面白いのだ。
あと1巻。話の内容もそうだが、自分がどう読むか、楽しみではある(←Mかっ)。
レヴァイン指揮ロンドン交響楽団の演奏で、マーラーの交響曲1番「巨人」を聴く。
これは骨太の演奏。すべての楽器を豪快に鳴らしきる。
ロンドン交響楽団の音色がまた太い。このオーケストラはロンドンのオーケストラによくあるように、天気で言えば曇り空のようなところがあり、技術は冴えているものの全体の音色はどっしりとしている。それが、このディスクでは顕著に聴ける。
白眉は3楽章。オーボエとホルンのソロがとても素晴らしいから、一瞬、シカゴのレイ・スティルとデイル・クレヴェンジャーかと思った。ロンドンもやはり個人技は高い。
マーラーの交響曲の全曲を異なるオーケストラでやるケースは、ままある。最初はバーンスタインだろうか。8番だけロンドン交響楽団で、あとはニューヨーク・フィル。その何年か後にこのレヴァイン。2番と8番はできなかったが、ロンドンとシカゴ交響楽団、そしてフィラデルフィア管弦楽団を擁した、とても魅力的なもの。
その次は、シカゴ交響楽団とウイーン・フィルとで全曲を完成させたアバド、といったあたりか。
レヴァインは後年にミュンヘンと「復活」を録音しているがこれはライヴ。RCAの録音群とは毛色が異なる。
シカゴがフィラデルフィアで2番、8番を録音してもらいたかった。
1974年の録音。
休憩。
重版できました。
「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!PR