レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィル成毛眞の「新世代ビジネス、知っておきたい四賢人版マーケティングの心得」を読む。
元マイクロソフト日本法人の社長が、松村劭、唐津一、和田秀樹、安延申と語る、マーケティングの要諦。対談者はみんな成功者だから威勢がいい。成毛の質問に対する解答は、ズバズバと切れ味鋭い。過去にうまくいったアイディアや自慢話を惜しみなく披露する。
こうした話は後だしジャンケンのようなもので、そのへんの酔っ払いオヤジの自慢話と、もしかしたら、そう大差はないのかもしれない。所属が大企業か零細か、そのあたりの違いでしかないような。
それでも、興味深い話はいくつかあって、なかでは、味噌を売るときのエピソードが面白かった。
味噌がなかなか売れないとの相談を受けて、売り場を観察をしに行ったら、あることに気づく。客が一度手に取った味噌を棚にもどすとき、裏面を表にすることがあるのだ。この状態だと、あとからくる客はその商品を手にしない。そこで、表と裏を同じデザインにさせた。ひっくり返しても表が出るようしたわけだ。そうしたら、売上が3割も上がったという。
なるほどである。
シンフォニー・エディションから。今週は少しまとめてマーラーを聴いた。1番の演奏は悪くないが、2番そしてこの3番がさらにいいように感じる。
冒頭のホルンの力強い響きで概ね勝負あり。1楽章を通して、パンチが効いていて実に鮮やか。ときおりヴィブラートを利かせるトランペットや、小太鼓の細かな刻みやクラリネットのトリルなど、小技がまた絶妙な味付けだ。マーラーが想定したであろう、この地球の自然のおおらかさや不思議さといった要素を含みながら、流れを大局的につかみ、さらにディテイルを丁寧に掬い取っている。このあたりの指揮ふりは、全曲中の白眉かもしれない。続く楽章もいい。
2楽章は特に、厳しく追い込んでゆくヴァイオリンのピチカートの緊張感。3楽章は、たった今生まれたような、みずみずしいポストホルンの生命力。4楽章は粘り強いホルンの持続力が圧巻。
5楽章は、女声と児童との混合から成る。気合いの入った女声合唱のコブシは聴きもの。終楽章では、主人公の弦楽器が期待通りによく鳴っている。こころもち堅めの響きが、おおらかに清々しく広がる。ここは小細工なしのど真ん中ストレート勝負。
クールで毅然としたたたずまいのなかから、ほのかな憂愁が立ち上ぼるのだ。
マーサ・リプトン(Ms)
スコラ・カントルム女声合唱団
トランスフィギュレーション教会少年合唱団
1961年4月、ニューヨーク、マンハッタン・センターでの録音。
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