シャイー指揮コンセルトヘボウ管/マーラー第5
最近あまりぱっとした話題のないシャイーの演奏を聴いてみる。
ここでは、コンセルトヘボウ管弦楽団がとてもいい。
どのセクションも均等に良くて、バランスが冴えている。バイエルン放送交響楽団も全体のバランスがいいオケだが、コンセルトヘボウのほうがより華やかだろう。
豊穣で輝かしい響きをオシム監督、いや惜しみなく撒き散らしていて気持ちがいい。
こういう音を出せるオケならば、指揮者はむしろ凡庸なほうがいい、もっと極端にいうと、いなくてもいいのじゃないかという気さえしてしまう。
シャイーは、第2楽章で、複雑に入り組んだオーケストラの綾をていねいに解きほぐして、ひとつひとつの音を明確に鳴らせることに腐心しているが、結果的に流れを損なうことなく怒涛の夢ロマンを展開している。
第3楽章では、たっぷりと甘くて濃いヴィヴラートのかかったホルンの音色が抜群である。ライナーノーツに奏者の記載はないが、恐らくタダ者ではないだろう。
年は40から50。不精髭は伸び放題、朝から酒を呑みたおすアル中で、目は黄色くどんよりと濁っている。
もちろん妻や子供にはとうの昔に逃げられていて、本人は借金取りから逃げまくるテイタラクである。
しかし、ホルンを手にした途端に手の震えがぴたりと止まり、ひとたび吹いてみれば、えもいわれぬ音色を響かせる天才肌。
あぶさんか。
そうであってほしい、こういうホルンを吹くヒトは。
このホルンを聴くためだけに、このCDを取り出す価値あり。
第4楽章は普通。
終楽章では、指揮者の指示なのだろうが、時折弾き崩しているところがあって、しゃれている。
普段聴きとりにくい音を明瞭に鳴らせていて、見通しの良い演奏でもある。
シャイーの演奏は、数ヶ月前に聴いた「シェエラザード」はつまらなくて途中から本を読み始めちゃったが、このマーラーはよかった。★音楽blogランキング!★にほんブログ村 クラシックブログ無料メルマガ『究極の娯楽 -古典音楽の毒と薬-』 読者登録フォーム
メールアドレスを入力してボタンを押すと登録できます。
PR
シャイー盤では、実に甘美でふくらみのある音に魅せられました。第5という曲のなかでも重要な箇所なので、ホルンがうまいのとそうではないのでは演奏の印象が違ってきます。
「Jakob Slagsterで、今年の来日公演のメンバー表を見ますと、現在も首席ホルン奏者として在籍している」
なるほど、そうでしたか。お教えいただき、ありがとうございます。
シャイーの録音から10年弱ですから、まだバリバリですね。