モーツァルト「フィガロの結婚」E・クライバー指揮ウイーン・フィル他大勢オペラに対する造詣は、器楽曲のそれに輪をかけて浅い私が何年かぶりに挑戦したのが「フィガロの結婚」。
全曲聴き通し計画から数ヶ月。数あるCDの中から選んで選んで選び抜いたのがE・クライバーの盤である。
これはちょっと前に知って、久々に血が騒いだCDである。
モーツァルトの4大オペラ全曲が1847円、しかもベーム、クライバー、クリップス、フリッチャイで聴くことができるなんていうことは、世も末、じゃなかった、ある意味で暴挙である。
音楽録音の著作権がちょうど切れる時期だということが関係あるのだろうか、ともかくありがたいことである。
E・クライバーの「フィガロ」は、もともとLPで所有していたのであるが、ずいぶん昔に1、2回聴いただけで実家の倉庫に埋もれている状態なので、CDで買い直しても、価格を考慮すれば全然問題ないのだった。
ちょっとワクワクしながら、CDをターンテーブルに乗せる。聴こえてくる音楽は、まさにウイーン・フィルである。序曲の、ホルンとオーボエたちが溶け合う音を聴いただけで、心も体もこの音楽に引き込まれた。
歌手はシエピ、ギューデン、デラ・カーザといった往年の名歌手たち。私はひとりひとりの経歴やどんなスタイルの人なのかを知らないが、彼らの歌うアリアのひとつひとつが、少々時代がかっているけれども、とても甘美で、手触りの暖かい歌であると感じる。とくにギューデンの可愛らしいスザンナは良い。
でも、なんといってもこの演奏の主役はウイーン・フィルだろう。コクがあるがキレはない、楽観的で贅沢な音が、この豪華なモーツァルトの音楽にはまっているでのある。
もともと嫌いなオケではないが、ここ30年くらいの録音で聴くことができる音とは、濃さが違う。
この半世紀前のデッカ録音は、ウイーンのコーヒーやザッハトルテのようなべったりとした濃厚な甘さとほんのり苦みばしった味に満ちていて、こんな甘美な音楽を聴くためなら酒をやめてもいいくらいである。
半分嘘であるが。
それにしても、フィナーレの素晴らしさときたら。
久しぶりにきた。
金玉の裏から背中にかけてビリビリと電流が走った。ムラヴィンスキーの「ワルキューレの騎行」以来である。信じられないくらいの速さ。ぶっちぎりのプレストである。この快速感こそは、
モーツァルトの醍醐味である。
その勢いを駆って、ベームのコジもさきっちょだけ聴いた。
とてもいい演奏の予感。★音楽blogランキング!★にほんブログ村 クラシックブログ無料メルマガ『究極の娯楽 -古典音楽の毒と薬-』 読者登録フォーム
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フリッチャイ以外はウイーン・フィルで固めたこのボックス、フィガロとコジの一部をようやく聴き終えました。フィガロはオケと歌手のバランスがとえもいいです。コジは1幕だけ聴きましたが、古いわりに録音は良く、ウイーン・フィルの魅力が炸裂です。
クリップスと、それから好きなフリッチャイはもったいないので来週にとって置いています(笑)。