ベートーヴェン 弦楽四重奏曲10番「ハープ」 ウイーン・アルバン・ベルク四重奏団オーケン(大前研一)の「50代からの選択」を再読する。
失職中の今あらためて読んでみると、また新鮮だ。
オーケンはこう言う。
「まず、最初にあなたがすべきことは、会社に対しての無限の感謝である。会社は、さしたる個性もなく、凡庸な才能しか持ち合わせていないあなたに、月々きちんと給料を払い続けてくれたのである。そのおかげであなたはこうやって平穏無事に今日まで過ごすことができた。そのことに対して、心からありがたいと思わなくてはいけない」。
あなたも思い当たるのではないだろうか。
私も就職が決まったら、その会社に無限の感謝をしなければならないナ。
アルバン・ベルク四重奏団による「ハープ」を聴く。
アンサンブルは堅牢で、みっしりと密度が濃い。かといって堅苦しい感じはなく、むしろ自由にやっているように思えるのは、音そのものがほんわかと柔らかいことと、適度にポルタメントを効かせていることが一因だろう。
弦の響きを味わうには絶好の一枚である。
ベートーヴェンのこの曲はどちらかと言えば、暑苦しい。暑苦しいので、節電のこの時期に申し訳ないほどキンキンに冷えた喫茶店で、これを毎日聴きながら、ジンセイを嘆いていた。そうすると、ちょうどいい加減なのだ。
プラスマイナスゼロ。なんのこっちゃ。
ギュンター・ピヒラー(Vn1)
ゲルハルト・シュルツ(Vn2)
ハット・バイエルレ(Va)
ヴァレンティン・エルベン(Vc)
1979年6月、スイス、セオンでの録音。
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