「これを避けたり追求したりするのが悩みの種になるような、そういう事例が自分のほうからは君のほうへやってこず、いわば君のほうからそういう事柄の方へ出向いて行くのであれば、少なくともこれに関する君の判断は平静なものにしておかなくてはいけない。そうすればその事例もじっとしているであろう。またこれを避けたり追求したりしている君の姿も見られなくなるであろう」(第11巻-11)。
ベルティーニ指揮ケルン放送交響楽団の演奏で、ベートーヴェンの交響曲3番「英雄」を聴く。
1楽章は比較的速い。まさにアレグロ・コン・ブリオといった感じ。提示部を反復しているが、タイムは16:18.けれども荒っぽいところはなく、管楽器・弦楽器ともに音色はまろやか。
ラスト近くの、件のトランペットは最初が途中まで、2度目はなし。じっくりと醸成された力が、弦の力で爆発する。
2楽章は何といってもオーボエがいい。細すぎず太すぎない、コクのある音が凛々しい。テンポは中庸。各楽器に余裕のあるたっぷりといた推進力があって流れがいい。
3楽章もテンポは中くらい。ホルンは渋くも流麗。
終楽章も速さは中庸、あるいはいくぶん速めか。相変わらずヴァイオリンを中心として弦楽器は闊達。手厚い。が、それにより木管楽器が隠れることはなく、バランスよく全体を見通すことができる。
ラストはスッキリと力強い。
1989年8月、ケルン、フィルハーモニーでの録音。
休憩。
重版できました。
「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!PR