ミケランジェリ ルガーノ・ライヴ1981今日は、先日の三連休の出社分の振り替え休日。
遅まきながらDVDレコーダーを入手したので、それを取り付けたのである。今までDVDはプレステ2で再生していたのだが、これからの時代は録画もできなきゃアカン、ということが家主不在の家族会議で決定したため、先週に買ったのだった。
取説は簡易な小冊子が2冊と、2センチほどのものがあり、いったいどこから読み始めてよいのかわからないので、勘を頼りにコードをつなげてゆく。テストをしながら手探りでやっていくと時間があっという間に過ぎるものだ。DVDの再生とテレビ録画を確認しとりあえず完了とする。
既存のビデオテープからのダビングも必要となるかもわからないけど、それは明日以降に。明日できることは明日に持ち越す、と。
そういった経緯があって、今までDVDは我が家での主流メディアでなかったわけで、なかでも音楽ものは少ない。その少ないうちのひとつがミケランジェリのルガーノでのライヴである。
たしかこれはプレステ2を持つ前に購入したもので、しばらくの間塩漬けになっていた。
再生できないことがわかっていたが、シューベルトの4番が入っていることもあって、どうしても欲しかったのである。今まではゲーム機でこっそり聴いていたが、このたび晴れて(?)堂々と陽の目をみるのでった。
ミケランジェリの弾くベートーヴェンのソナタはあまり多く残っていない。生涯で最も頻繁に演奏したのは3番と32番だとされている。今回聴いた11番は、彼の円熟期である70年代に新たにレパートリーに加わったらしい。海賊盤ではこの曲と12番との組み合わせが多く出回っていて、私も思わず買ってしまったが、実際にこの2曲をペアにしたプログラムが多かったのだろう。
ベートーヴェンはこの曲を1800年に完成している。中期に差し掛かるところであるが、4楽章制の内容は重厚なものだ。ミケランジェリの手にかかるとそれにさらに輪がかかって、後期なみの年輪の深さ、渋みを帯びる。聴くたびにだんだん面白くなってゆく。
広がりのある低音を基調としたミケランジェリの音は磨かれている。フォルテッシモでも塊にならず、心地よいふくよかさがあるのは、音を微妙にずらしているからだろう。こういうところはホロヴィッツを連想させる。
それにしても、彼はとても姿勢がいい。上体と鍵盤とが遠く離れていて、体はまったくぶれない。
力を入れないで、とても楽に弾いているかのように見えるが、カメラが顔を大写しにすると、大量に流れる汗がハッキリとわかる。ピアノを演奏するということは、過酷な肉体労働でもあることを思い知らされる。
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