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内田のシューベルト「ピアノソナタ第17番」

2007.07.21 - シューベルト

uchida

シューベルト ピアノ・ソナタ第14,17番 内田光子(Pf)


久々に近所の図書館に足を運んでみた。もともとCDの在庫が少ない図書館であるが、いくつか目新しいものがあった。そのなかに、なんと内田光子の弾くシューベルトのピアノ・ソナタが、バラではあるけれども全部揃えてあった。ショパンのスケルツォすら置いていない図書館なのに、これはすごい。
というか渋い。渋すぎる。
図書館司書なのか利用者なのか、誰が選んでいるのかわからないが、全体のバランスを無視したこの選択はある意味で快挙である。
そういうわけで、せっかくなので借りてみたのが好きな17番の入ったCD。
日本盤であるはずなのだが、解説書を含めジャケットがないのは、全集から抜き出しているからかも知れない。まあ普段は安い輸入盤で解説など読まないからいいのだけど。ライナー・ノーツのは、ときになかなか興味深い文章があったりするので、あなどれないものではあるのだが。


この曲の真ん中の2つの楽章を気に入っていて、このふたつの楽章の演奏内容が、繰り返し聴くかどうかの指標になる。
内田はこれらの部分をあまりテンポを変えないで、実に中庸に弾いている。遅くもなく速くもない。
音色は特に美音ではないが、適度に柔らかくて自然に耳に入り込む。シューベルト特有の控えめでくずおれそうな繊細なメロディーを持つ第2楽章では、こういう気をてらわない弾きかたがいい。この部分、酒のつまみには今のところカーゾンの演奏が最高であるが、内田のものもいい肴になる。
終楽章になって、とつぜん内田のピアノが変化を見せる。テンポのゆれ、強弱のつけかたが激しくなり、音楽が忙しくなった。ここでようやく腕を見せられるといわんばかりである。この終楽章は前までの楽章に比べるとあまり華がないというか変化に乏しいところがあるので、これはちょうどよいスパイスのような気もしないではない。でも全体的には、やはり中間の2つの楽章においての抑えた表現がとても感じのよいものだった。
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Comment

無題 - bitoku

吉田さん、こんばんは。

図書館に内田光子のシューベルトがそんなにあったんですか。
先日、内田のベートーヴェンの後期ソナタの演奏が気に入ったのでシューベルトも気になりますね。

内田が旧ウィーン学派は制覇すると言っているそうで、結構一人の作曲家に集中して何年間も掛けてレコーディングするスタイルのようで、今は何を置いてもベートーヴェンが弾きたいと言っていました。

>シューベルト特有の控えめでくずおれそうな繊細なメロディーを持つ第2楽章では、こういう気をてらわない弾きかたがいい。

中庸に弾いても味があるピアニストならなんか信用できそうですね。(笑)
奇を衒っても天才的なグールドとかグルダとかとは違うタイプでしょうか。


2007.07.22 Sun 02:00 URL [ Edit ]

Re:bitokuさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。
近所の図書館はショパンのスケルツォやベートーヴェンの荘厳ミサすらない状態なのですが、そういうところに突如内田のシューベルトが並んでいたのでビックリでした。いったい誰が、何の目的で…?
内田の演奏をとても久しぶりに聴いたのですが、このシューベルトでは中庸さと変化球を織り交ぜた弾き方が面白かったです。前回は彼女のショパンのソナタを聴いて、あまり面白くなかったのです。今回面白かったのは成熟なのか曲との相性なのか、もっと聞き込まないとわからないところではあります。
bitokuさんお薦めのベートーヴェン、聴きたくなりました。ソナタ全集の進行中というところだとすると、今が旬ですね。この図書館にはあまり期待はできませんが…。
2007.07.22 11:51

無題 - rudolf2006

吉田さま こんばんは

図書館でCDを借りることができるんですね。裏金作り有名な、私が住んでいる市の図書館でも、CDは借りられるんでしょうか? 爆 それに、図書館がどこにあるのかも、分からないんですが~。

内田光子さんのシュベルト、興味があるのですが、まだ未聴です。モツアルトのコンチェルトのCDは何枚か持っているんですが~。ベトベンのピアノソナタも録音しているみたいですね、これも聴いてみたいんですが~ なかなかそこまで手が回らないんです。図書館で借りられると良いですよね~
ミ(`w´彡)
2007.07.25 Wed 20:04 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。
図書館のCDライブラリーが充実していれば、音楽生活も経済状況も少しは違ったものになりそうですが、こういうところに大きな期待をしてはいけないかも知れません。

内田のシューベルト、なかなか面白くて聴きごたえがありました。残りのものも聴きたくなりました。
本日、職場の近くにあるHMVに寄ってみたら、彼女の「ハンマークラヴィーア」が発売されていました。これは聴きたくなりました。ただ、日本盤のレギュラープライスなのが痛いところで…。
2007.07.25 21:29

無題 - ruiros2019

図書館てところはよっぽど、内田光子のシューベルトがお好きなようで私の友人も図書館で借りてソナタを何枚か聴くうちシューベルトにのめり込み、私に21番の国内盤とシューベルトにとりつかれた理由の一文を添えて送りつけてきました。
何回も繰り返し21番を聴く内に気がついたらわたしも国内盤8枚組+DVD付きを購入していました。
2007.07.27 Fri 00:01 [ Edit ]

Re:ruiros2019さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。
私も21番は、ハマりました。リヒテルの演奏を聴いたときにショックを受けました。それまでは特になんていうことはなかったのに。

17番を聴いた感じだと、内田の弾くシューベルトは自分に合う感じがしました。いろいろな大家の演奏がある中で、ひけをとらないと思います。
21番を含めてこれからゆっくり聴いていこうと思います。
2007.07.27 09:56
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