ブレンデルのピアノ、ラトル指揮ウイーン・フィルの演奏で、ベートーヴェンのピアノ協奏曲5番「皇帝」を聴く(1998年2月、ウイーン、ムジークフェラインザールでの録音)。
これはしなやかで、落ち着きのある演奏。
さきに聴いた4番は、1997年12月の録音なので、これは約3ヵ月後のもの。連続で演奏されなかったところから、じっくりと時間をかけてベートーヴェンに挑もうという心意気を感じる。
出だしから、オーケストラもピアノもたっぷりと厚みがある。テンポは中くらいからやや遅いくらい。威風堂々としている。
1番の演奏では、ラトルはピリオドの味付けをしていたが、この「皇帝」(3番,4番もそうだったか)ではモダンなスタイルで通している。ヴァイオリンは対抗配置みたい。
ブレンデルのピアノは、特段、綺麗というふうではないけれど、ソロの場面で微細な味付けを丁寧に施していて、聴きごたえがある。
全体を通じては、大きく変わったことをしたふうには聴こえない、ケレン味のない演奏。目隠しされたら、誰の演奏か、わからないかもしれない。
安心して身を任せられる半面、驚きはない演奏である。そういう演奏もいい。
パースのビッグムーン。
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