ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全集 グリュミオー(Vn) ハスキル(Pf)この全集、HMVで1500円ちょっとで購入。グリュミオーとハスキルのコンビではモーツァルトが有名だが、こちらはどうなのだろう。ひととおり聴きおえたが、番号の初期のものはまだピンときていないのでまずクロイツェルの感想。
この全集、1956年から1957年の録音ということだったのでステレオだと思い込んで聴いていたのだが、先ほどHMVのレビューをみたら、これはモノラル録音とのこと。
ヴァイオリンとピアノの音が良く溶け合っている。ときどき合奏がズレるところもあるのだが、2度目のフレーズではちゃんと修正されており、まるでライヴのような生々しさがある。
グリュミオーのヴァイオリンは、音の磨き方への専念というよりも勢いを重視しており、気迫が前面に出た熱さを感じる。それは冒頭から最後まで一貫している。それでも音の高低の精確さ、艶やかさは充分に発揮されているので、私がこのヴァイオリニストに持っている印象は変わることがなく、根底に横たわるエレガントさを感じるのだ。
ハスキルのピアノは録音のせいか、輪郭のぼやけた響きになっている。音が立っていなくて、かなり柔らかいご飯のよう。その中で聴きどころは第2楽章のトリル。この部分だけが突出して美しい。上等の真珠のように深い光を湛えた渋い色合いがあって、ここだけを何度も聴きかえしたくなる。
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