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ブーレーズのドビュッシー「管弦楽のための映像」

2007.08.12 - ドビュッシー

boulez

ドビュッシー 「海」「牧神の午後への前奏曲」「映像」 ブーレーズ指揮クリーヴランド管弦楽団



クリーヴランド管の醸し出す音響は、精緻でひきしまっており華やかであり、もう言うことなし。
これは指揮者の指示によってこうなっているということもあろうが、もともとの性質によるところが大きいのだろう。
ブーレーズの音楽はここでも「完璧に対する情熱」をふんだんに注いでおり、これ以上こと細かく再現することは想像に難い。
出てきた音楽はまったく暑苦しくなく、ひんやりとしていた肌触りがある。よって、蒸し暑いこの時期にふさわしい。かといって冬はどうなのかといえば、それはそれでまた一興かもしれない。ようするに季節に拘泥しない、というか季節感のない金属的華やかさに溢れているのが彼の音楽なのだ。
部分的には、打楽器が弱音で奏するところがいい。響きが細かくて、適度な緊張感が心地よい。
逆に、「イベリア」の激しく舞踏的な部分は、あまりノリがいいとは言えず、大音響が空回りしているようだ。

ブーレーズは昔の頃のほうがよかったとよく言われる。確かにこのドビュッシーについても、ニュー・フィルハーモニア管とのもののほうが鋭いかもしれない。
とはいえ、演奏家にも旬があるものだ。その多くは、若い頃がそれに当てはまるだろう。技術も体力もあり、やる気に満ちているはずだから。
指揮者の世界では「50、60は洟垂れ小僧」なんて言うらしいけど、誇張もはなはだしい。どこかの老人が若さを妬んで言ったことに過ぎないだろう。
クラウディオ・アラウみたいに、晩年になって突如すごい成熟をみせるヒトもいるけれど、そういうことは滅多にないことだ。
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Comment

無題 - bitoku

吉田さん、こんばんは。

丁度、ブレーズの壮年期の演奏のマーラーの5番&9番(海賊盤!)とのCDを聴いている時に何の気なしに吉田さんのページを開いたらブレーズのジャケだったので驚きました。奇遇ですね。(笑)
私はブレーズの昔の演奏が好きな派です。最近は精神的に余裕があるのか”厳しさ”と”情熱”に欠けるような気がします。

そういえばブレーズのドビュッシーは聴いたことがないです。DGの最新録音よりやはりSONY時代の古い録音の方が気になってしまいます。(笑)

>クリーヴランド管の醸し出す音響は、精緻でひきしまっており華やかであり、もう言うことなし。
>
>出てきた音楽はまったく暑苦しくなく、ひんやりとしていた肌触りがある。

なんかクールで良さそうな演奏みたいですね。夏は嫌いなので涼しい気分になれる音楽が聴きたいです。

>演奏家にも旬があるものだ。その多くは、若い頃がそれに当てはまるだろう。技術も体力もあり、やる気に満ちているはずだから。

確かに人間の創造のピークってあるかも知れませんね。
私は自分のピークはまだまだ、これからだと言い聞かせてなんとかモチベーションを上げて生きてますけどピークが来ないで終わる気がしないでもないです。(笑)


2007.08.13 Mon 02:21 URL [ Edit ]

Re:bitokuさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。
それは奇遇です。DGとのマーラーはいくつか聴きましたが、壮年期のものはあまり聴いたことがありません。彼の演奏は60年代から70年代のものが好きです。
挑戦的でトゲトゲしい音楽は異質であり刺激的でもあります。
クリーヴランドとのコンビによるものは、CBS時代からいいものがあります。だいたい、ウイーン・フィルとやり始めたあたりからつまらなくなったというような気がします。最初はもの珍しさで聴きましたが、やはりCBS録音のほうがよかったと思います。

>私は自分のピークはまだまだ、これからだと言い聞かせてなんとかモチベーションを上げて生きてますけどピークが来ないで終わる気がしないでもないです。(笑)

私も、ピークはこれからだと信じたいですね。
幼稚園の頃だったりした日には…。
2007.08.13 12:36

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます。

お盆休みでしょうか?
連日暑いですから、清涼感のある曲を聴きたいと思いつつ、熱い曲ばかり聴いています、爆~。

吉田さんのショルティのブルックナーに関するコメントを読んでから、色々と他の演奏を聴きながら、考えましたが、まだよく分かりません。

ブーレーズの演奏、私も昔の方が良かったのではないかなって感じます。幾何学的な演奏(よく分かりませんが)と感じたことを覚えています。このドビュッシーは聴いたことがありませんが。

確かに、旬というものがあると思いますね。あれだけ頭脳明晰なブーレーズでも、老いはやってきますから。老いに入ってきている、私には切実に感じます、爆~。

クナの晩年の演奏ではないブルックナーを聴いていますが、やはりかなり違いますね。

ミ(`w´彡)
2007.08.14 Tue 06:26 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。
お盆真っ盛りでありますが、こちらは通常勤務です。この時期、電車が空いていて楽です。いつもこのくらいの混み具合なら良いのですが。

私はrudolf2006さんの記事を読んで、ショルティのブルックナーを聴きたくなりました。8番もある意味すごい演奏だったので、5番、9番あたり気になり始めました。
クナのブルックナーは、50年代以降のものしか聴いていません。改訂版ばかりです。8番なんかは、もう彼独自の世界が固まっている気がします。とても感銘を受けますが、いったい何が良いのか、言葉に出ないのです。

>ブーレーズでも、老いはやってきますから。

芸風のせいか、ずっと若いような気がしていましたが、もう80くらいですね。それで現役なのはすごいことです。
自分がそれまで生きていたら、寝たきりかと(笑)。
2007.08.14 12:48
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