アレクサンダー弦楽四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲4番を聴く(1996年5月、カリフォルニア、ベルヴェデーレでの録音)。
ベートーヴェンの作品18のなかでは、4番がもっとも好き。この時点で、もう彼は中期あるいは後期の道に踏み出しているかのよう。そんな深みに届きそう。
1番や5番のように若さあふれる瑞々しい曲もいいが、どれかと言われたらこの曲をとる。
ユニオンで見つけたアレクサンダー四重奏団のベートーヴェン全集。この団体を聴くのは初めてだったが、作品18を聴き終えたところ、完成度は高い。
悲劇的なメロディーで始まる1楽章は、緻密でかつ情熱的。第1ヴァイオリンがとても雄弁だし、他の楽器がガッチリとそれを支えている。
2楽章は明るい色調のスケルツォ、フーガで始まる。順番にソロが鳴るところでは、各奏者の技量がはっきりとわかるが、どれも安定している。チェロの音色はたっぷりと濃くて、存在感がある。
3楽章は疾走するメヌエット。スケルツォのあとにメヌエットを置くのは珍しいのじゃないかと思う。シリアスな雰囲気があるので、2楽章よりはこちらがスケルツォみたい。中間部は穏やか。透明感のあるアンサンブルがおいしい。
アレグロの4楽章も1楽章と似た、哀しみをたたえた曲。各奏者のバランスはいい。音の重さが均質。音程もしっかりと合っていると感じる。ラストはアッチェレランドをかけて駆け抜ける。
次は「ラズモフスキー」。楽しみ。
フレデリック・リフシッツ(ヴァイオリン)
ゲ・ファン・ヤン(ヴァイオリン)
ポール・ヤーブロウ(ヴィオラ)
サンディ・ウィルソン(チェロ)
駐車場。
PR